ドッグラン利用伸び悩み 「遠い」「高い」がネックに
市内の愛犬家の要望で作られた公設のドッグラン広場(夏島2の26)が開設1年を迎え、今年2月末時点の登録頭数が102頭、利用数は342件と伸び悩んでいる。利用者からはアクセスの悪さや料金設定など施設環境について改善を求める声も聞こえ、利用率向上のための対策が求められる。
待望の末に作られたドッグランは吉田雄人市長の政策マニフェストにも盛り込まれていた事業のひとつだった。しかし、稼働状況は芳しくなく今年2月末時点の登録頭数は102頭で、当初見込んでいた148頭には届いていない。市内の利用者は「場所が遠い」「利用料金(年間2000円)が高い」「狭い」「供用日が日曜日のみで利用しにくい」など不便さを指摘している。
横須賀市内では、平成13年から23年までの10年間で、およそ4300頭(県統計)の犬が登録され、年々増加している。その一方、ペット同伴の入園やノーリードでの散歩を禁止する公園が大半で、愛犬家からは「犬を自由に遊ばせることのできるドッグランの設置を」との根強い要望があった。それを受け、市では昨年4月、有料の公園施設として建設費1076万円をかけてドッグランを開設した。
立地に疑問の声
夏島都市緑地が選定された理由を市公園建設課は「周辺に住宅地がなく、適当な広さが確保できる場所だった」と説明し「犬の毛や臭い、鳴き声など住宅への影響を鑑みた上での適正配置」としている。しかし、立地は夏島の最奥で工場地帯の一角。向かいにはリサイクル施設「アイクル」と動物愛護センターが並び、愛犬家からは設置場所に対する疑問の声もあがっている。
供用日が日曜限定である理由は「平日は『アイクル』に出入りするトラックの往来が激しく、安全面を考慮した。また公設ドッグランは初めての試みのため試験的な曜日設定」と話している。今後は利用者の声や運営経費の調整を図りながら、土曜や祝日へ拡大を検討していくという。
愛犬家は葉山に
一方、近隣自治体にも公営ドッグランがある。その中でも人気を集めているのが葉山町南郷上ノ山公園内「葉山町ドッグヤード」だ。
町民は年間1000円の登録料で何度でも利用が可能。ドッグラン面積は約850平方メートルあり、同公園の無料駐車場が利用できる使い勝手の良さが魅力だ。これにより横須賀・横浜・逗子・鎌倉から訪れる人も多い。同町役場によると、今年2月末の利用登録数は312頭、そのうち横須賀市民による登録は90頭と全体の約3分の1を占めているという。
また、同ドッグランは行政任せでなく利用者の協力によって運営されていることも特徴だ。他の公共施設とは異なる視点で利用規定を設け、利用申請した人は単なる利用者ではなく、同時に施設の管理者としての側面を持ち、円滑な運営を支えている。
夏島ドッグランの管理は「シティサポートよこすか」が行い、維持費は年間118万6千円。早期に善後策を講じ、利用率の向上と不便さの解消が求められるが、現段階で具体的な措置はとられていない。新たなドッグランの設置について同課では「市民のニーズや既存広場の経過観察を行うなど現状を把握した上で考えたい」としている。
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