横須賀・三浦 トップニュース
公開日:2014.09.05
県全域で選定完了に3年
土砂警戒区域の指定急ぐ
先月20日、広島市北部に甚大な被害をもたらした土砂災害。発災から2週間が過ぎた今も、多くの人が避難生活を送るなど生活再建には時間を要している。この災害を巡り、有識者からは行政と住民の危機意識の低さが指摘されているが、起伏の多い丘陵地域に住宅地が密集し、崩落のおそれのある急傾斜地を多く抱える横須賀も他人事ではない。本市の土砂災害対策の現状をまとめた。
世界的に見ても日本は土砂災害が多く、国の統計では1年間に約1千件発生している。その理由は複合的で気象や地質だけでなく、近年では都市部で進む宅地開発が引き金となっているケースもあり、土砂災害のおそれがある場所や、発生リスクが増加傾向にある。頻発する土砂災害に対し、国は防災工事などを行うハード面とハザードマップや避難経路の整備などのソフト面の対策を両輪として進めている。
「特別警戒区域」は順次指定
横須賀は急傾斜地、いわゆる崖が多い。人口の集中や市街地のがけ地付近への拡大により危険な急傾斜地は増えている。市内で土砂災害発生のおそれのある「警戒区域」に指定されている急傾斜地は、1121箇所にのぼり、横浜市の2431箇所に次いで県内で2番目に多い。県土木事務所によると、平成21年度から昨年度までの5年間に市内で発生した土砂災害は、小崩落が157件確認されている。
警戒区域指定の調査は県内全域で現在も続いており、横須賀では未指定の「特別警戒区域(警戒区域の中でも特に危険性の高い場所)」や、土石流における危険区域指定も順次行われるという。広島市の発災現場の多くが、警戒区域未指定だったことなどを受け、黒岩祐治神奈川県知事も先月末の定例会見で、「緊急的な対応を指示した。警戒区域の指定をできる限り早く進めたい」と述べている。しかし、調査開始から指定までは数年かかるため、当初計画していた来年度中の完了は困難としている。
災害被害を最小限に食い止めるには行政だけでなく市民の防災・危機意識の向上も重要になる。横須賀市危機管理課では警戒区域が記されたハザードマップを配布、ホームページで公開。台風や秋雨前線、ゲリラ豪雨によって局地的な大雨になりやすい秋を迎え、日頃の備えを呼び掛けている。
工事阻む高額負担
今年6月、ハイランド入口交差点そばの急傾斜地が、激しい大雨により高さ約35m、幅20mにわたって崩落した事故は記憶に新しい。負傷者こそ出なかったが、すぐ下を通る市道と駐車場に約600㎥の土砂が流出。道路は一時通行止めとなり、現在も一方通行が続くなど影響が出ている。 同地は私有地で、県による工事基準を満たしていないがけ地。市の助成制度を活用しても所有者負担の工事費は数千万円と賄いきれず、安全対策の遅れを誘発していた。先月末、土地所有者の1人が市に対し当該地の寄付を申し出、市は異例の受け入れを表明した。工事は今月中に着工し、来年3月完成の見通し。
今年7月、横浜市では個人の工事費用負担軽減で減災対策推進を図る、新たな補助制度の導入を検討。現行の補助制度では対象基準や上限額が足かせとなっていたが、新案では小規模工事にも拡充される。横須賀市でも既存制度の限界を感じているとし、今後安全対策の見直しが待たれる。
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