ニューヨークでピアニストデビューして20年、市内で記念リサイタルを行う 大森 ひろみさん 湘南鷹取在住
ピアノがある人生、私らしく
○…ステージから見た観客席の熱気を、今も鮮明に覚えている。「ここで弾けることが嬉しく、楽しかった」。NYのカーネギー・ワイル・リサイタルホールでデビューして20年。生まれ育った横須賀で節目となるリサイタルは、クラシックからジャズまで多様多彩。「このプログラムは人生そのもの。私らしく楽しいステージにしたい」
○…習い事の1つとして、小学生で始めたピアノ。これが自分の”武器”だと感じたのは、父親の仕事の関係で渡米した高校生の時だ。個性がぶつかるアメリカの高校、言葉の壁。自分の持っている突出した個性、そして拠り所になったのは、ピアノだった。とはいえ、大学で専攻したのはジャーナリズム科。「言葉で伝える仕事がしたい」と選んだが、恩師の薦めもありピアノ科に転科。ピアニストを目指す人が進む道に、ようやく足を踏み入れた。「焦りよりも、出遅れを挽回しなければ、とエンジン全開でした」。新たな挑戦への意欲に加え、持ち前の明るさが、NYデビューの幸運を呼び寄せた。
○…がむしゃらに練習を積めば、技術的にはある程度までは行ける。ピアニストとしての成長は「ピアノ以外の経験も大切」。異国での生活も大きな刺激だった。剣道をたしなみ、NYでも道場へ。落語好きも筋金入りだ。「不変のもの(楽譜や噺)に対して、どう表現するかが腕の見せ所。個性や経験が大きく映し出されるものだから」。ピアノのために何かをするのではなく、それがあるから、ピアニストの自分がいる。「全ての経験が糧(かて)になっている」
○…アメリカで活動中、一時帰国した際に再会した中学の同級生と結婚。出産を経て地元に帰ってきた。演奏活動、音楽関係の通訳、後進の指導に子育ても加わり、練習に専念できる時間を捻出する日々。それでも「いかに二兎・三兎を追うかが楽しみどころ」と笑顔が絶えない。「自分の人生は、自分が作るものだから」
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