「西洋画家のモネ、ドガ、ルノアールを驚愕させた浮世絵師の葛飾北斎は、『横須賀人』だったことを知っておいてください─」
横須賀美術館で会期中の浮世絵展。自身のコレクションを披露している斎藤文夫氏が、関連企画として催された講演会で興味深いエピソードを紹介した。
「90才まで生きた北斎ですが、その生涯は決して幸せなものでなく波乱に満ちていたそうです」。人気絵師ながら赤貧にあえぐ暮らしぶりで、住所を移すこと92回。60代のひところ、借金で江戸を追われ、「三浦半島・三崎の親戚筋を頼り浦賀に移り住んだ、と文献に記されています。場所は定かではないが、お寺に身を寄せていたようです」
浮世絵の代名詞ともいえる北斎の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」。大波に翻弄される2隻の船の背後で微動だにしない富士山。波の一瞬を写実的に捉えた世界に誇る名作は「この地で相模湾の海を見て、想像力を広げたのでは」と斎藤さんは推察。燈明堂を中心に据えた「千絵の海 相州浦賀」も北斎が横須賀で過ごしたことを想像させる。
両作品は、横須賀美術館の前期展示として12月6日(日)まで鑑賞できる。
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