青年経済人が集う横須賀商工会議所青年部は今年、創立35周年の節目を迎えた。これを記念して益子陽一会長(三春商会代表取締役社長)と自民党農林部会長として農政改革に挑んでいる小泉進次郎代議士が対談を行った。地域活性化の担い手としての心構えなど、2人が率直な思いを語った。
益子 横須賀商工会議所青年部(YEG)は今年、創立35周年を迎えました。
小泉 35年といえば、私が生まれた年にスタートを切った団体なのですね。みなさんが手掛けた久里浜花の国のゴジラ滑り台はあまりにも有名です。5年前の30周年記念式典では講演させていただきました。あれから部員数を大幅に伸ばしたそうですね。
益子 当時は部員数の減少に苦しんでいました。一時は18人という数が今では、56人にまで増加し、団体としての活気を取り戻しています。青年部のあり方や活動の意義ついて、部員間で本気で話し合いを重ねてきたことが結果として今に繋がっています。
小泉 具体的にはどんな活動をしていますか?
益子 月に一度、例会を開いていますが、ここで青年部独自の商品開発に挑んだことがあります。部員のコラボでなにか生み出せないかと。和菓子屋、パン屋、こんにゃく屋が中心となって、「あんパン」の試作を行いました。YEGの焼印を押して、産業まつりで販売しましたが、これが瞬く間に完売。こしあんに粒状のコンニャクを加えたことで食感の面白さを出すことができました。アイデアの実現化を学ぶ貴重な機会となりました。
益子 全国を飛び回っている代議士ですが、地方の状況をどう見ています。
小泉 以前は復興大臣政務官、現在は自民党農林部会長として地方の活性化に取り組んでいますが、多くの自治体が人口減少の問題に直面しています。残念ながら出生率が回復しても当面、人口減少は止まらない。ならば、減ることを嘆くよりも、どうやって豊かさを維持しながら次の世代に繋いでいくのかを考えたい。未来志向の街づくり、国づくりの発想が不可欠です。「減るものは減る」「ないものはない」という考え方で、人口が減っても大丈夫という楽観と自信を生みたい。
益子 かつてイギリスで3年半過ごしましたが、人口は日本の約半分(6千万人)。では、生活水準が半分かというと、全くそんなことはありません。人生を楽しむゆとりや文化を大切にする心が豊か。私たちは経済的発展のみに価値観を置くことからの転換が求められています。その一方で、経営者として、事業は成長させなければなりません。
小泉 中小企業経営も変革を迫られています。需要が見込めないことが分かっているのであれば、新しい分野への進出や業態変更でリスクと向き合う姿勢が必要です。
益子 私が営むガス会社では、人口減少が売上減少に直結します。そこで、新たな販路開拓として、イチゴ農家への炭酸ガスの供給を考えています。ビニールハウスに炭酸ガスを混入すると収穫量が増すそうです。
小泉 その発想の先に、実際にイチゴの生産を手掛けることを考えてみてはどうでしょう。異業種から農業に参入するケースが増えています。
益子 高齢化社会への対応も欠かせない視点。電気店を営む部員と連携して、”御用聞き”の可能性を模索しています。ガスの検針で訪れた際に、家電の修理や住まいの不具合などを聞き取って、紹介する仕組みです。
小泉 異業種が集う青年部ですから、”御用聞き” をテーマに、部員全員で話し合ってみると、面白い組み合わせや意外な商機を見つけ出せるかもしれませんね。
益子 農業の分野で若い人たちの動きを聞かせてください。
小泉 経営者の感覚を持って6次産業に挑む人が出てきています。ある農家は、市況に左右される「定価のない商売」に大きなリスクを感じ、加工品の製造に乗り出し「定価のある商売」を始めています。佐渡島の米農家は海外輸出に力を注いでいます。離島からの距離でいえば、東京も国外も変わらない、という前向きな考え方です。横須賀は首都圏という巨大な市場が背後にあり、40万人の人口にも支えられ、置かれている状況への危機意識が地方とくらべるとまだ薄いと言わざるを得ません。横須賀はもっと伸びる可能性に満ちています。
益子 確かにそうした部分はあるかもしれません。変化のスピードに対応するために、日ごろから感性を研ぎ澄まさせて、社会ニーズを掴んでいかなければなりません。青年部がそれを学ぶ場でありたいと考えています。
編集╱安池裕之 撮影╱江間信矢 撮影地協力╱SYOKU─YABO農園
オープンセミナー あの店の店主が講師に
同青年部では9月29日(木)、一般参加できる35周年記念例会(オープンセミナー)を開く。
「面白くて、役に立つ」と題し、様々な職業に就く部員が講師となって得意分野の話題や情報を提供するミニ講演(インターネットを活用した集客/よこすかの介護事情/足で稼ぐ御用聞きビジネス)を行う。
会場内に設けたコーナーでは、映像制作会社が写真撮影のワンポイントアドバイスを行う講座や生花店によるミニブーケ教室などが開かれる。飲食各店による人気商品(わらびこ餅/ポテチパン/生詰ところてん)の無料提供もある。
このほか、右記の対談記事を収録した「35周年記念誌」=写真=の配布も行う。
時間は午後5時半から8時半。会場は平成町の横須賀商工会議所1階ホール。入場自由。問合せは同青年部担当【電話】046・823・0402
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