神奈川県が先月18日に行った元横須賀警察署(小川町10の1)の入札で、三信住建株式会社(東京都中央区)が落札した。金額は28億1155万円。用途や建物規模、竣工時期などの事業計画は「未定」としている。当該地については一昨年、県から横須賀市に取得要望の照会があったが、「活用の予定なし」と回答していた。
マンション開発か
市役所前の幹線道路沿いで、その利活用が注目されていた警察署跡地。今回の入札には10事業者が参加し、三信住建株式会社が28億1155万円で落札した。土地2405・63平方メートルに建物(庁舎・機械室等)を含めた現況での引き渡しで、当初の参考価格は4億5660万円だった。市内の不動産関係者などからは、落札価格が高額だったことに驚きの声も上がっている。
同社は2006年に創業。首都圏を中心に不動産・コンサルティング事業を展開しており、横須賀市内では、7年前に安浦町で分譲マンションを手掛けている。担当者によると、建物規模や竣工時期などは「検討段階」として事業の概要は明らかにしていない。
当該地については、これまで地元の連合町内会やPTA団体などが、緊急避難場所や公園緑地帯の確保といった利活用の要望を出していた。
しかし、神奈川県から市に対して、これより前の一昨年、跡地取得に関する照会があったが、「新規の施設建設はしない方針」「活用の目的がない」として要望なしと回答していた。こうした県とのやりとりを議会に報告していなかったという経緯もあり、批判を受けていた。
一連の動きに対し、大滝町会の上田滋会長は「公共の土地が繋がっている場所であり、県から照会があった際に今後のまちづくりを考えて、地元の声を聞き取り、利活用を真剣に検討するべきではなかったか」と市の姿勢に疑問を呈す。今後は、地元と事業者・市が街全体の将来像を共に考え、協議する場を設けるよう働きかけていくという。
市議 「地下駐車場利活用を」
跡地の開発事業者が決まったことを受け、現在開会中の市議会第4回定例会では、これに関連した質疑が行われた。
隣接する市役所前公園地下の駐車場「ぴぽ320」について西郷宗範議員は「経営状態の厳しい同駐車場を新設施設(マンション等)の駐車場として売却するのはどうか」と質問。これに対し吉田雄人市長は、「(ぴぽは)地元商業者や市などが出資する、横須賀中央まちづくり株式会社が運営しており、本市のみで判断できるものではないが、検討する余地はある」と回答した。現状では、民間企業に売却することはできないとしつつも、「マンション事業者の計画や意向を確認しながら、市として提案できることがあれば進めたい」と話している。
市内の未利用地 今後の活用は?
救急医療センター跡地は年度内に入札
市内には横須賀警察署跡地以外にも未利用地(遊休地)が多数ある。所有者は国・県・市・民間などさまざまだが、閉鎖後、老朽化した建物だけが残っていたり、空き地の状態が続くことは、防犯・安全面でも危険だとの声もある。
横須賀市は、小・中学校跡地など市が所有する土地等については、原則として売却の方針をとっている。市有地のひとつ、三春町の救急医療センター跡地(2091・11平方メートル)=写真=も、土壌汚染調査と改良を経て、今年度中に入札を行う予定。こちらも幹線道路沿いにあることから、既に民間事業者からの問い合わせも相次いでいるという。
日の出町にある横須賀地方合同庁舎跡地(国が所有)は、市が土地の一部を購入し、仮称・中央こども園を設置する予定だったが、価格が折り合わず、定期借地方式で取得する方針に変更。しかし、借地年数などの条件について、市議会での議論が続いており、同園の開園も先延ばしになっている。「(同所に限らず)他の公共施設の更新に合わせた合築も考えられないか」「定期借地での整備は市民益に反するのではないか」との意見もあがっている。
また、民間事業地では先月末、昨年閉院した横須賀共済病院分院(国家公務員共済組合連合会/船越町)の跡地、9955・50平方メートルの入札が行われている。
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