横須賀・三浦 スポーツトップニュース
公開日:2026.03.13
北下浦ふるさとマラソン
市民が刻んだ40年の轍
健康増進と交流に寄与
横須賀市野比の海岸沿いを駆け抜ける「北下浦ふるさとマラソン」が、3月15日(日)に開催される大会で40回目を迎える。地域のランナーの手で始まった大会は、一昨年からはスタンドアップパドル(SUP)と組み合わせた「RUN&SUP」クラスを新設するなど趣向を凝らし、地域の一大イベントとしての地位を築いている。
市民ランナー団体「しらとりランナーズ」が発起人となり、第1回大会が開催されたのは1987年。2Kmと5Kmの2部門で行われ、268人の参加者を集めた。
発案者は、同サークル代表の石井利治(かつはる)さん(70)。各地のマラソン大会に出場するなか、参加ランナーを地域一体で歓迎する様子に感銘を受け、「恩返しをしなくては」と地元開催を仲間に呼びかけたのが始まりだった。
手製チラシでスタート
警察への道路使用許可、近隣住民への説明、スポンサー集めなど、大会の実施に向けた作業は膨大。チラシはワープロで手作りし、地域のランナーや少年スポーツチームにも参加を呼びかけた。「新しいことを始める時は批判はつきもの」と覚悟していたとおり、開催に否定的な声もあったという。
根気強く対話を重ねて理解を取り付け、実現した第1回大会。当初は主要道路の利用に制限があり歩道メインのコースだったが、参加者の増加に伴って徐々に規模が拡大し、10回目頃から全面通行止めで車道が使用可能となった。
常に進化求め
2019年には、陸上コースと並行して海上で行うSUPマラソンを初開催。今大会からは昨年11月に久里浜の火力発電所内に開園した「JERA park YOKOSUKA」を10Kmコースに取り入れるなど、より魅力的な大会とすべく、実行委員らによる懸命な努力が続けられている。
今大会の参加予定は1800人超。横須賀市と友好都市提携を結ぶ会津若松市や富岡市からもランナーが参加するなど、地域を横断した交流も生まれている。実行委員長を務める石井さんは、「スタッフやボランティアのおかげ。半年以上費やす準備は大変だが、できる限り続けたい」と話した。
走りで活気づけた37年 連続出場記録は孫が継ぐ
今年で40回目を迎える「北下浦ふるさとマラソン」に刻まれた連続出場記録は「37」。その保持者は故渡辺鉄巳(てつみ)さんだ。
お気に入りの白いキャップをかぶり、赤いシューズで毎日のように野比の海岸沿いを走る渡辺さんの姿は、地域にとってなじみの光景だった。「40回までは絶対に出るからね」と街で出会う人に笑顔で話していたが、目標まであと3回と迫った2023年秋、病のために急逝した。79歳だった。
人一倍愛した横須賀
秋田県の山深い町で生まれ育ち、仕事の関係で約50年前に横須賀へ移住。「ここで一生暮らしたい」というほど海に囲まれた環境を気に入り、釣りにも夢中になった。
地元への愛情が人一倍深く、民生委員児童委員や町内会の役員として尽力。だからこそ地元でのマラソン大会開催に歓喜し、「微力かもしれないけれど、走ることで地域を活気づけたい」という思いが37回連続出場の原動力となった。
会社勤めで酒の席も多かったことから、「健康のために」と始めたランニング。その甲斐あってか、年をいくつ重ねても元気そのものだったが、突然の病に倒れた。
入院先では、会話もままならぬ状態。元気を出すきっかけになればと妻の房子さんが病室に置いた赤いシューズに足を履く日は、ついに訪れることはなかった。
"じぃじ"の思い胸に走る
「目標を達成できず、誰よりも本人が一番無念だったことでしょう」と房子さん。しかし、"じぃじ"の初志貫徹の思いは、孫へと確かに受け継がれていた。
小中学生の頃、渡辺さんに誘われて大会に出場したという孫の岩井亮人(あきひと)さん(24)。「この大会はタイムではなく、海の景色を見ながら楽しんで走るのがいいところなんだ」。一緒に走った時に教えられたその言葉を鮮明に思い出す。
37回で途切れた渡辺さんの連続出場記録への挑戦。しかし、他界して半年後に行われた38回大会には岩井さんの姿があった。昨年もレースを走り、今年は形見となった白いキャップをかぶり出場する。「祖父が大好きだった横須賀をのびのび走る姿を、天国から見ていて欲しい」
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