「ジャパンエキスポ・パリ2017」で書道パフォーマンスを行った 長谷川 ひろみさん 平作在住
「実用の書」にかける思い
○…大観衆に見守られながらパフォーマンスを終えた。「人前で書を披露するなんて考えてもみなかった」。近所の知人や友人の声を受け実用書道の教室を開いたのが約9年前。現在は横須賀や逗子などで約140人に教えている。実用書道とは、字の形を崩したアートとしての芸術書道とは違う、生活の中でも使える実用的な書を指す。日々実感するのが、書道に触れてこなかった人たちの存在。年を重ねるにつれ、のし袋など筆字を使う機会が増えていく。きれいな字が書けず恥ずかしい思いをしたくない、と教室に参加する人が多いという。
○…書道家だった祖父の背中を見て筆を持ったのが3歳の時。大学卒業後は、大手機械メーカーで働きながら書道教室の先生もやり始めた。営業で県庁の文書課を訪れた折、賞状に字を入れる「賞状書士」という仕事に出会い転職を決めた。講師だったこともあり、すぐにできると甘く見ていた。「こんな字じゃお金を取れない」―初めて書いた賞状は散々な言われようだった。きれいでまっすぐな字を書くことの難しさを痛感。「完璧にできるまでに5年はかかった」。現在も総理大臣賞などの国から授与される賞状を手掛けている。
○…夫と息子、母を加えた4人暮らし。筆を包丁に持ち替えれば一児の母に変身。息子は東京のインターナショナルスクールに通う。書道を習わせたいという思いはあったが「親とは違うことをやりたがるのが子ども。習わせるとしたら、孫かな」と冗談半分に話す。
○…「パリの人は書道が好き」。エキスポに参加して感じたのは、海外の人たちの書に対する熱。日本に住む我々にとっては当たり前のものでも、海外からは美しいものとして注目を集める。「書道家として日本人が書道から離れてきていることが悲しい」今やスマホで筆字が”作れてしまう”時代。生活の中から書が消えてしまわぬようこれからも活動を続ける。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|