西浦賀の丘陵地で観光農園を営む「ファーマシーガーデン浦賀」が、敷地内にある戦争遺跡を活用した新たな事業モデルの開発を進めている。農園は明治以降に軍事施設が築かれた「千代ヶ崎砲台跡」の一部で、砲台跡や観測所跡などが良好な状態で遺されている。事業者は収穫体験と戦跡見学の”二枚看板”で集客を図っていく方針だ。
事業者「キャンプ場開設も」
観光農園の運営母体は横浜市に本社のある睦建設。15年ほど前、先代の経営者が里山づくりを目的に約9万平方メートル(東京ドーム2個分)の土地を地権者から購入した。森林の手入れを行い、2年前から夏はブルーベリー、冬はレモンを主力に栽培。アーモンドやオリーブなど、地元の生産者が扱っていない品目を手掛けており、無農薬で蜂蜜の生産も行っている。摘み取り体験は試行の段階だが、昨年で50人、今年は100人を受け入れた。今後は発信を強めながら集客数を伸ばしていく考えだ。海近くの平坦な場所でキャンプ場を開設する計画も進めている。
事業者は、観光集客の別の切り口として戦跡にも着目。2015年に東京湾要塞跡として隣接する「千代ヶ崎砲台」が国史跡の指定を受けたことで、新しいニーズを認識。歴史マニアなどをターゲットにしたガイドツアーの実施などを目論んでいる。
農園内の史跡は指定を受けていないが、貴重な資料が点在しており、大正期に「戦艦鹿島」の主砲を陸上砲台に転用した国内最初の砲塔砲台跡やコンクリート造りの機関室を見ることができる。横須賀市も重要性を認識しているが、民有地であるため敷地内の史跡の全容解明が出来ていない状況。今後は事業者と連携してエリア一帯の保存活用を目指したいとしている。
農園の管理は、同社を定年退職した人らが担っており、再雇用の受け皿としても機能させている。現在は収穫物を川崎市内のスーパーや地元浦賀の提携店に卸している。
レモン摘み取り週2回、12月末まで
ファーマシーガーデン浦賀では、「海と森と歴史が融合した農園」を触れ込みにした収穫体験を行っている。今シーズンのレモンの摘み取りは、11月18日(土)から12月末までを予定している=写真。料金は3000円で4人まで入場可能(5kg持ち帰り)。開園日は水曜日と土曜日のみ。事前予約制。
問い合せは【携帯電話】080・3512・9791(午前9時から午後5時)
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