横須賀市が「市歌」の活用に乗り出している。今月4日から、市内で流れる防災行政無線のミュージックチャイムやごみ収集車の音楽を市歌のメロディに変更。8日の成人式では、上地克明市長がロック調のアレンジて熱唱した。市長は議会で「自然に触れて歌う雰囲気づくりを高めたい」と話しており、郷土愛を深めるきっかけにしたい考えだ。
「溌剌と わが横須賀は 太陽の前に生きたり」―。これは市歌の歌詞一部。戦前に作られた初代に変わり、1967年2月に市制60周年を記念し、堀口大學作詞、團伊玖磨作曲で制定された。黒船・灯台・造船・工場といった言葉のほか、5番には「〜天そそる 横断路線 ひと跨ぎ東京湾も〜」といったフレーズもある。現在は、市立小の5年生が芸術鑑賞会の場で披露するために習う程度で、ほかには、組曲「横須賀」の演奏会や「市民音楽のつどい」などの場で歌われている。
制定から50年
市歌の活用について動きがあったのは制定50年を迎えた昨年。市議会では3月に議場で記念コンサートを開催、8月には市ホームページで音源のダウンロードができるようになった。上地市長は9月定例議会の所信表明に関連し「横須賀に生まれて住んでよかったという意識を育むひとつとして、自ら歌いながら連帯と協調につなげたい」「市歌はふるさとの原点であって、市民の皆さんを結ぶ貴重な存在」と述べていた。
活用の一環として市では今月4日から、午後4時(4月から9月末は午後5時)に流れる防災行政無線のミュージックチャイムとごみ収集車のメロディを変更。市や地域の賀詞交歓会でも、式次第に新たに市歌斉唱が加わった。また、8日の成人式では、市長自らがギタリストを伴い、檀上でロック調にアレンジしたものを熱唱。サプライズ的な演出に会場も沸いた。市役所庁舎内では、始業と終業のチャイムを9日から市歌に変えており「耳にする機会を増やして、郷土愛を高めるきっかけにしたい」と市総務課は話している。
「自治体歌」活用多様に
県内で市歌が有名なのは横浜市。市立学校では小学校の授業で歌唱指導を行うほか、入学式や卒業式でも斉唱しており、横浜DeNAベイスターズの試合時にはファンファーレとして使われている。川崎市では市歌の認知度向上に向け、歌詞を現代風に改訂。シティプロモーションの一環として、学校現場での活用のほか、JR川崎駅の発車メロディとして使用している。
逗子市は2014年に市制60周年を記念し、ファンファーレ版を編曲、式典などで活用している。横須賀市と同様に堀口大學作詞、團伊玖磨作曲の町歌がある葉山町では、14年から防災チャイムに採用。町民が作成した「葉山体操」の音楽にもアレンジした町歌を使っている。三浦市は、小学校で使う郷土学習資料に市歌の歌詞を掲載している。
制定当時に配布 貴重なソノシート
市歌制定の1967年に小学4年生だったという井口一彦市議の自宅には、学校で配られたというソノシートが大切に保管されている。この年、市内小中学校の児童生徒に配布されたもので、授業でも歌っていたという。作曲者の團伊玖磨氏が指揮し、横須賀交響楽団と横高OB合唱団が演奏した薄いレコード盤。「前向きな歌詞に、子どもながらに感動した」と市歌への思いは今もそのまま。また、市立横須賀高校が開校した際、「一時的に校歌のような形で使われていたようだ」と話す。
市議会でも昨年、一昨年と活用に関して質問をしており、「普段から街に流れることで愛着が持てる。これを機に、郷土の歌として歌い継いでほしい」と語った。
横須賀版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>