横須賀版 掲載号:2018年5月4日号
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阿部志郎の日々雑感 第3回「孤独に立ち向かう」

社会

阿部志郎(91)日本の社会福祉事業者。32歳で社会福祉法人横須賀基督教社会館の館長に就任し、以後50年間、地域福祉や教育の現場で尽力。戦後社会福祉のパイオニア。
阿部志郎(91)日本の社会福祉事業者。32歳で社会福祉法人横須賀基督教社会館の館長に就任し、以後50年間、地域福祉や教育の現場で尽力。戦後社会福祉のパイオニア。

 「老後の不安」という言葉をよく耳にします。ひとつは孤独でしょう。孤独死の数は東京23区で1日当たり12人と聞きました。それも老人だけではありません。若者を含めて、毎日のようにどこかで人身事故が起きています。

 日本の自殺者の数は率にして英国の3倍。それは子どもの時に要因があります。日本では親は子どもをかわいがり、我が子を挟んで川の字に寝たりしますね。ヨーロッパでは決してしません。子どもは別、自分のことは自分で、自分の足で立ちなさい、責任を持ちなさい。そういうしつけを受けます。私自身を考えても、10人家族で育ちました。いつも誰かいました。軍隊に行けば戦友がいました。一人ぽっちの経験がありません。それが老後になると、一人になってしまいます。さびしいと感じる人が多いのは当然です。



 ヨーロッパの格言でこんな言葉があります。

「人間は孤独に耐えられても、孤立には耐えられない」―。

「孤独」は志を同じくする人や精神的につながりがある人がおらず、1人になることです。一方「孤立」は人間関係を離れ助けもなく一人になることです。「ひとりで生きなさい、しかし一人ぼっちはいけません、隣同士の関係を密に死なさい」と。

そこでヨーロッパから始まったのが「スープの冷めない距離」という表現。日本でも流行りましたね。

老人が一人で住んでいても、家族はスープを運んでも冷めない距離にいなさい。いざという時にすぐ駆けつけられるように。

孤立してしまう人をなくそうという動きが広がっていきました。

 私は意識して人と人の交わりを絶やさないようにしています。年寄りは年寄りなりの社会参加をするべきです。

 私のささやかな社会参加一つが毎朝地域のラジオ体操に参加することです。同じ仲間と顔を合わせてあいさつ・会話を交わす。「昨日来なかったじゃないか、どうしたんだ?」と何気なく聞くこともできます。大切な時間です。

 もう一つが新聞の切り抜きをすること。毎日30枚弱になるでしょうか。2紙読んでいます。では、何を切抜きするか―。自分ではとっておきません。記事を読んでいると色々な人の顔が浮かびます。「これはあの人関心がありそう」「あの人向きだなあ」と。

 先日も沖縄の知り合いに記事を贈りました。沖縄には「沖縄タイムス」と「沖縄新報」の2つの新聞があります。全国紙はほとんど入っていません。愛郷心もあるでしょう。私は彼らに、本土の沖縄に対する論調を伝えています。

 毎週の人、一年に一回の人、延べ600人くらいの知り合いに送っています。向こうにしてみたら余計なお世話かもしれません。しかし、友人のことを考えることこそが私の社会参加です。
 

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