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横須賀・三浦 人物風土記

公開日:2018.05.04

市福祉部自立支援担当課長で、終活内容を市に登録する事業を手掛ける
北見 万幸(かずゆき)さん
馬堀町在住 59歳

「個人の想い」に報いたい



 〇…市が今月から始めた「終活情報伝達事業」とその基となった「エンディングプラン・サポート事業」を発案。「陽は当たらない地味な分野だが必要な人がいるはず」と穏やかな口調で語った。



 〇…誰も”無縁”にしたくない―。そう駆り立てた背景には、いくつかのエピソードが重なる。10年ほど前、通信社で働く長年の友人が過労で亡くなった。それを知ったのはしばらく経ってから。墓前で手を合わせたいと思っても、連絡する術がなかった。片や担当課では、先立った身内の墓の場所が分からず無縁仏となる事例に直面することも多かった。引き取り手のない遺骨を職員らが市の納骨堂に収容し、満杯になると骨壺を割り、合祀する。「本人はこれを望んでいたのか」。思いを巡らせて浮かんだのが「お墓にも住民票があったら」という視点。墓や葬儀の希望など、終活情報を市に登録するという、国内では例のない事業案に行き着いた。



 〇…身体の弱かった両親の近くで働きたいと市役所に入庁。30代から福祉畑を歩む。原点にあるのが8歳の頃の経験。家業が倒産し債権者が詰め掛け、リアカーで夜逃げ。自分の力ではどうすることもできない環境に置かれたことで芽生えたのが「困っている人をどう支えるべきか」という問いかけだ。それから半世紀。行政職に携わり、小さいながらも数々の支援事業を手掛けてきた。



 〇…来年3月に定年を迎えるが「事業を軌道に乗せるために駆け抜けたい」と力を込める。自己分析は「未完成のまま走り出すタイプ」。知恵を凝らし、併走する人達の支えがあってこそ。数年前、同課の非常勤相談員を務めていた元小学校校長が急逝。「制度の相談などたくさん励まされた。ひと区切りで、墓前にいい知らせができたかな」

 

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