横須賀・三浦 人物風土記
公開日:2019.02.22
昨年の富士山開山期の最高齢登頂者になった
杉本 與七(よしち)さん
湘南鷹取在住 91歳
山登りに定年無し
○…昨年夏、自身通算21回目となる富士山登頂に成功。同年開山期間中の70歳以上の登頂者、およそ2千人の中で最高齢者になった。「気づけばこの歳で21回。周りの方からお褒めの言葉をたくさんいただき、ただただありがたい」と恐縮しつつも笑顔で話す。
○…富山県の中心街から離れた山間で生まれ育つ。家の裏にそびえる1千m級の山々へ焚き木を拾い集めに日々足を運んだ。生活の一部に常に山があったことで自然と魅せられていった。戦後は富山県や愛知県、新潟県などの警察内で通信技術者として腕を振った。およそ30年前に息子家族との同居をきっかけに名古屋から湘南鷹取へと居を移した。
○…現役時代は忙しい身ながらも、登山への熱は冷めずに持ち続けた。休暇を使っては全国各地の山へしばしば単身で出掛けて行った。「急な斜面や吊り橋など、山では危険で苦しいこともあるが、また自ずと足が向かってしまう」。乗鞍岳や御嶽山を代表する「日本百名山」への登頂にも挑戦し、定年後には全山制覇を成し遂げた。「一つのことを始めたら最後までやりきる、これが山登りから教わったこと。世界の五大陸制覇の夢はさすがにもう叶いそうにないのが心残り」と悔しさをにじませる。
○…90歳を越えた今もなお日々精力的に活動し、自治会の行事には今でも欠かさず参加する。健脚を維持する秘訣は毎日昇り降りする湘南鷹取の坂道だとか。高台の自宅からの買い物はほとんど徒歩。同郷で同じ歳の妻とは今でも仲睦まじく、お互いの体調を気遣い合う。妻をこれ以上心配させまいと”引退宣言”も口にする。だが一方で「登りやすい山なら機会があれば今年も」ともポツリ。登山熱はまだ冷めそうにない。
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