横須賀市は、追浜に遺された戦争遺跡「貝山地下壕」の活用に向けた準備を進めている。太平洋戦争末期の戦跡として一級の資料である遺構を観光利用や平和学習に役立てたい考え。落石防止などの安全対策や入場口整備のための予算措置を行い、2020年度中の公開をめざす。先行して今年度は市民ガイドの養成に取り組む。
貝山地下壕は追浜浄化センター裏、貝山緑地の地下に今もその姿をとどめている。横須賀海軍航空隊が空襲対策として1944年末ごろから本土決戦に備えて構築したものとされているが、詳しいことは分かっていない。航空隊周辺の鉈切山、夏島、野島などの山中にも大規模な地下壕が築かれたが、貝山は航空隊本部の近くに位置していたため司令部や中枢機能の移転先であったと考えられている。壕内の総延長は推定で2Km程度、天井までの高さが10m超の広大なスペースがあるほか会議室や炊事場、食糧庫、便所と思われる場所も存在している。
横須賀市は市内に点在する歴史遺産をめぐる「ルートミュージアム構想」を進めており、貝山地下壕を含めた周辺エリアを北の拠点にしていく意向。市民ガイドによる案内などを想定している。これに向けて来年1月には、ガイド養成を目的とした「貝山地下壕養成講座」を開講する。
【東京要塞研究家 デビット佐藤さんの話】
貝山地下壕は一般公開が待ち望まれていた。観光資源としての価値はもちろん、学校や社会教育と連携した平和旅行の誘致にこそ、その存在意義が発揮される。ニーズを捉えた教育プログラムの構築と質の高い語り部(ガイド)の養成が必須となる。戦争遺跡の宝庫である横須賀ならではの、他の戦争遺跡とのネットワーク化も必要だろう。
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