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【Web限定記事】コロナの今、その先― <音楽> 文化の維持・発展に「今が正念場」 宮本史利氏(よこすかの音楽家を支援する会)

掲載号:2020年5月22日号

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馬堀海岸出身。オペラ歌手として国内外で活動する。2015年に市内にゆかりのある音楽家に活動の場を提供する「よこすかの音楽家を支援する会」を立ち上げ。新年のニューイヤーコンサートは、総勢50人の奏者が出演する恒例イベントに。練習拠点として、若松町に「よこすかピアノスタジオ」を開設している
馬堀海岸出身。オペラ歌手として国内外で活動する。2015年に市内にゆかりのある音楽家に活動の場を提供する「よこすかの音楽家を支援する会」を立ち上げ。新年のニューイヤーコンサートは、総勢50人の奏者が出演する恒例イベントに。練習拠点として、若松町に「よこすかピアノスタジオ」を開設している

 新型コロナウイルス感染拡大・外出自粛の影響は多分野に渡っています。「今」の動きと「これから」を各界の関係者に聞きました。

 

――コロナの感染拡大によるさまざまな「自粛」の中で、クラシックコンサートなどの公演を主催する団体として、どのような対応を取られていますか。

 「3月以降は状況を注意深く見ながら、公演日の2週間前を目安に開催可否の判断をした。結果的には劇場が臨時休館となってしまったため、6月までに予定されていたコンサートは全て延期または中止。せめてオンラインでも演奏を届けられればと思い、3月中は様々なライブ配信を行った。4月以降も計画をしていたが、そもそも人と会うことが難しい状況になり、演奏家同士が集まることもできず、これらも断念している」

――音楽業界では、緊急事態宣言以前から公演の自粛を進めていました。活動が制限される中で、市内の音楽家のみなさんはどのような状況に置かれていますか。

 「私自身の話としては、4月の時点で今年の9月までのコンサートはほぼ全て中止・延期に。公演関連の収入はありません。まだ計画段階だった企画については、日程をはっきり決めずに可能だったら動き出す、という状態で保留にしている。音楽家の中にはレッスンをすることで生計を立てている方もたくさんいる。しかし、そのレッスン自体を行うこともできない。ただ、少しずつオンラインでの指導が盛んになっているのはせめてもの救いかもしれない。また、コンサートの規模にもよるが、大規模であれば、大まかな計画は1年以上前から、具体的な制作は半年ほど前から―といった準備時間が必要。仮に7月から活動をしても良い、となったとしても、すぐにコンサートができるわけではない。延期・中止は大変苦しいが、それと同時に未来まで奪われていることが大きな問題。そして、一番恐れていることは、いざ公演ができたとしても、観客側も人が集まるところに出向くのはやめておこう、という判断が働いてしまうこと。そのような状況で企画を進めることはできない。コンサートがなくなってしまったら、”生の音楽を聴く機会”…音楽家を目指す子どもたちもいなくなってしまう。文化を維持・発展させていくためにも、今がまさに正念場」

――国内各所で、公演中止に関係団体が損失補償を求める声が上がっていましたが、現実的には話が進んでいないようです。これに関して、どのように考えますか。

 「このような未曾有の事態で、やむを得ないこともあるかと思う。ただ、音楽家は短期間に育成できるものではない。もし音楽文化の維持を望まれるならば、最低限の補償をお願いできればと思っている」

――中止の公演をオンラインで配信するなど、新しい試みもありますが、この状況下で音楽を届けることの意義は。

 「オンラインや録音では届けられないものがあり、それを表現するため、私たちは生演奏にこだわっていた。しかし、開催そのものができない中で、怪我や病気など、さまざまな状況でこれまで演奏会場に足を運ぶのが難しかった方に向けても、『オンラインだからこそ』の何かを見つけることができれば、と考えている。いざコンサートが通常通りできるようになったときに、楽しみ方に選択肢が生まれ、より豊かな活動に広がっていくと思う。それを目指して、いま精一杯準備をしているので、どうぞご期待ください」

――このコロナ禍は、音楽の視聴方法や楽しみ方も大きく変えたと思います。まだ予断は許さない状況ですが、今後の展望や新たな取り組み、期待の兆しのようなものはありますか。

 「これまでの活動を通して、音楽家同士だけでなく観客の繋がりというものも育まれてきたと感じている。市内出身のヴァイオリニスト、渡邊達徳さんの支援の呼びかけにより、多額の寄付がYMSAに寄せられた。また、横須賀の作・編曲家の内田祥子さんが編曲した「故郷」を市にゆかりのあるピアニストの皆さんがリレー演奏をする動画が作成されている(楽譜の売り上げは当会に寄付してくださるそう)。馬堀海岸のカフェオーナーでピアニストの増田美穂さんは、横須賀にゆかりのある音楽家をゲストに迎えてのライブ配信を毎日行っており、それを楽しみにしている方がたくさんいる。音楽家の皆さんはそれぞれが大変に苦しい状況だと思われるが、そのなかで文化を維持していこうという活動、そして繋がりが生まれていることは大きな希望と言えますし、これまで地元横須賀で活動してきて本当に良かったと思っている」

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