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【Web限定記事】コロナの今、その先― 〈子育て〉 「子どもの居場所」学校との連携が不可欠 永松範子氏(横須賀市学童保育連絡協議会) 

掲載号:2020年6月5日号

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横須賀市学童保育連絡協議会事務局次長で岩戸大矢部学童クラブの指導員を務める。市内にある学童保育は73。共働きやひとり親家庭が増えていることもあり、ここ5年で10クラブ以上増加。学童保育連絡協議会に加盟しているクラブは24カ所。指導員の情報共有や研修、育成を行う「指導員会」には27クラブが加盟
横須賀市学童保育連絡協議会事務局次長で岩戸大矢部学童クラブの指導員を務める。市内にある学童保育は73。共働きやひとり親家庭が増えていることもあり、ここ5年で10クラブ以上増加。学童保育連絡協議会に加盟しているクラブは24カ所。指導員の情報共有や研修、育成を行う「指導員会」には27クラブが加盟

 新型コロナウイルス感染拡大・外出自粛の影響は多分野に渡っています。「今」の動きと「これから」を各界の関係者に聞きました。

 

――共働きやひとり親の小学生が放課後や長期休業時に過ごす学童保育での、学校休業通知後(2月末)の対応をさかのぼって伺います。学童には市からどのような通達がありましたか。市内の学童での情報共有は。

 

 「3月3日から3月25日の臨時休校期間は、小学校内に設置のクラブも含め、『原則開所』(小学校長との調整は不要)で、長期休業と同様の扱い。開所時間が8時間以上になり、人員的に難しい場合は可能な範囲での受け入れ可としていた。保護者の会合や、指導員の研修会も中止となったため、直接の情報共有は難しかったが、個別に連絡を取り合って確認した。ただし、学童の連絡協議会や指導員会に加盟していないクラブは情報が共有できず、連協に直接問い合わせが来ることもあった。先日行ったアンケート(市連協・指導員会加盟29か所/うち回答25クラブ)では、3月は22のクラブが通常通りの運営で、時短保育を行ったクラブは3つあった。4月は、15クラブが通常通りの開所。その他は、時短や開所の日数を減らすなどの対応をした。5月も、4月とあまり変わらないが、時短や閉所の数が多少増えていた」

 

――休校期間の開所について、当初どのような課題・問題がありましたか。市への要望など以降の対応で改善された部分はありましたか。

 「3月当初は圧倒的に、指導員の数が足りない状況だった。夏休みなどは事前にアルバイトなどを募集して体制を整えるが、今回は、急な要請だったため新たに雇用する時間もなく、対応に追われた。また、扶養の範囲で働く非常勤の指導員も多いため、長時間の勤務を調整することができず、シフトを組むのも困難だった。それを理由に時短にしたり、閉所にしたりするクラブもあり、開所自体が難しい状況だった。4月に緊急事態宣言が出され、在宅勤務など保護者の働き方も変わったことから、通所児童数が減少。指導員の配置もようやく少しゆとりができた」

 

――学童での感染防止対策はどのようにされていますか。

 

 「施設内の消毒や換気などは、毎日、定期的に行っている。『3密』を避けるため、可能な家庭では自宅保育などの協力などを要請した。マスクの着用、手洗いの励行なども引き続き行っているが、小学生が相手なので、なかなか徹底が難しく、指導員たちも神経を使っている。人と関わり合って育つ時期の子どもたちなので、学童に通う以上、人と接触するなというのは無理があり、遊びの時間に2mの間隔を取るのも難しい。しかも、もともと学童保育の施設面積は、児童1人あたり1・65平方メートル(たたみ1畳分)という基準で、非常に狭い施設が多く、そもそも3密は避けられない。外遊びの時間を設けることもあったが、公園に不特定多数の人が集まることも少なくなく、外出も難しくなり、狭い室内に閉じ込められる状況が続くようになった。おやつの時間は、机に座る人数を制限して前を向いて食べるなど、基本的な感染防止対策をするくらいしかできなかった」

 

――この期間中、学童ではどのように過ごしていましたか。子どもの状況、様子の変化は。

 

 「保育をする上では、3月から長期休業と同様の一日開所を要請されたと同時に、『学校の校庭や体育館も貸せない』という連絡が来た。そこが一番大きな問題だった。学校施設内に設置された学童の子どもたちは、3密の状態で過ごすことになり、指導員たちも感染防止対策に悩む毎日だった。その都度、担当課を通じて要望をし、改善されたクラブもあるが、小学校によって対応が違い、現場の不公平感も広がっていた。担当課も調整に奔走されていたかと思うが、学校と学童は、それぞれの担当部署が異なり、教育委員会と担当課の連携が必要不可欠。なかなか教育委員会の理解が難しく、子どもの生活の場が安全な方法で確保できず、悩みは尽きなかった。また、休校が続き、遊び方も制限されるようになったことで3月以降、子どものイライラが募り、けんかが増えていったように感じる。妙にこだわったり、相手を攻撃するような言動を見せたり、特に児童数が減ってくると、顔を合わせる子ども同士も密になるので、一挙手一投足に神経をとがらせ、いつもだったら見過ごす言葉につっかるような子どももいて、叱ることでは解決せず、関わり方にも苦慮している」

 

――指導員は、3密のリスクを抱えながらの勤務かと思う。勤務体系や雇用の面での状況はどうですか。実際に働いている指導員からの声などあればお聞かせください。

 

 「雇用したばかりの指導員数人がコロナ対応に追われて早々に退職したという報告や、感染リスクが高いので休みたいという勤務の拒否もあった。これらは非常に少ないケースではあるものの、現実は誰もが怖いと思いながら働き続けているのだと感じている。もともと指導員の人員に余裕のない学童は、常勤職員の長時間勤務が続き、体力的にも精神的にもきつい毎日が続いている。でも、働く場所を失ったり、収入が減ったりする職種もある中で、拘束時間は厳しいが我慢するしかないと思う人も多い。3月はとにかく急な対応に追われ、なおかつ年度末の書類や子どもの卒所・入所といった大きな行事も控えていて、丸1日の保育後に事務仕事が続き、かなり疲弊していたと思う。非常勤・アルバイトの方たちは、3月の時点では扶養の範囲を超える勤務時間となっても、協力してくれた人も多かったが、この状態が長く続くようになり、現実問題としてそうはいっていられない人も出てきた。逆に、4月以降は緊急事態宣言による在宅勤務の家庭も増え、児童数も減ってきたため、指導員の配置を減らした。自宅待機させた指導員の休業補償をしたクラブもあったが、全てのクラブでそうした対応ができた訳ではない。出勤が減ったり、補償のないまま休業せざるを得ず、生活が苦しい状態になった指導員もいた。ちなみに、私はNPO法人で5つの学童保育を運営しているが、学童を利用しなかった子どももいるため、保育料を返還している。その額は4月で160万円にもなり、運営を圧迫している。施設の固定費や人件費など、利用する子どもが一時的に少なくても運営費用はかかっていく。国や市からの開所費用補助もあるが満額ではなく、状況の厳しい中でこんなに頑張ってくれている指導員たちの処遇を改善できないのは、なんとも納得がいかない。今後の大きな課題だと感じている」

 

――今後、分散登校など、変則的な状況が続くかと思います。コロナ禍は、学童施設の需要と雇用の不安定な部分もあぶりだしたのではないでしょうか。

 

 「休校が明けて変則的な分散登校が始まり、現場はどのように対応するか、職員会議を進めつつも右往左往している。とにかく教育委員会の発表がギリギリなので、私たちはシフトをひとつ立てるにも、幾通りものパターンを考えて対応せざるを得ない。急な連絡で、その対応に夜遅くまで仕事が続いたり、自宅への持ち帰り仕事が続いたりしているのが現実。”子どものこと”として学校と学童保育がもっと密に情報共有できるとよいのだが、教育委員会との連携には高い壁を感じる。もちろん現場の管理職の方々は身近にいる私たちのことは、よく分かっていると思うのだが、個別に対応できないことも多く、非常に難しい問題だ。また、施設の面でも十分とは言えず、特に学校内に入っている学童は、1教室のみを使用しているため、コロナ禍以前から感染防止で児童を隔離する場所もなく、苦慮している。処遇改善や施設面の対応も、保育施設とは格段の違いがあるように感じている。処遇も以前に比べればよくなったとはいえ、専門的な知識と技量が求められる仕事にもかかわらず、待遇がそれに見合っていないため、どうしても担い手がいない、あるいはすぐに離職するという実態があり、それも今後の課題だ。できるだけ、長く働き続けることによって、保護者や子どもとの信頼関係も築いて欲しいし、このような緊急事態を乗り切るには、経験豊かな指導員が必要だと強く実感する。改めて、国にも市にも、子どもの居場所を守ることや、この仕事への理解を深めて欲しい」
 

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