コロナの今、その先─―〈保健福祉〉 迅速な対応で市民の「安心」提供 行政現場で対策に奔走する2人
新型コロナウイルス感染拡大・外出自粛の影響は多分野に渡っています。今回は、市役所での対応について「今」の動きと「これから」を保健所所長と対策担当部部長に聞きました(敬称略)。
──国内での感染が見つかった1月当初から、今までの市内の動きは。
土田「感染について危惧する声が強まったことを受け、横須賀市では2月7日、保健所に『帰国者・接触者相談センター』を開設した。受け入れ体制として、すぐに市内3カ所の病院に協力いただけたのは大きい。市役所もこれらに対応するため、2月17日に対策本部を立ち上げた。市内では、3月15日に1例目の感染者が確認された。施設従事者でクラスターの心配もあり、非常に大きなインパクト。3月後半から市内での発生が多くなってきたことから、医療施設での感染リスクを考え、PCRセンターの開設を検討。三浦半島病院会と市医師会の協力のもと、4月24日に県内初のウオークスルー型の検査場を設置した。保健所での対応では、市内での発生が続いた3月は相談件数が1日200件近くあった。コロナだけでなく違う病気の発見が遅れないよう既往症の状況なども含めて保健師が経過についても把握し、寄り添いながら相談業務にあたった。最近では10数件に落ち着いている」
──4月に「新型コロナウイルス対策担当部」が設置されました。保健所と対策担当部の役割と、市長からの指示は。
森田「保健所だけの相談対応では賄えない部分も多く、検査体制の構築や医療現場では手の届かないことなどを市役所内の各部署と調整する機動部隊といった立ち位置。上地市長からは『市民の安全・安心を守ること』を最優先とするよう指示を受けた」
土田「保健所は公衆衛生のスペシャリストだが、先の見えない状態も続き疲弊もあった。相談業務以外の部分で対策担当部が応援体制を敷いているので負担も軽減されている」
──「PCR検査場」についてお聞きします。医療現場の負担軽減を目的としたものと認識していますが、市の方針や考え方は。
森田「市外の病院施設などでクラスターが発生していたことを受け、コロナの診療・治療を行う市内の3病院の院内感染のリスクを軽減するため、ウォークスルー型のPCRセンターの設置に至った。当初は保健所経由だったが、5月下旬からは、かかりつけ医などから申込ができるようにした。『すぐに検査できること』が、安心安全につながると考えている。幸い、市内には検査機関である市健康安全科学センターがあり、県や横浜市と同数に近い数の検査を行っている。県内自治体の中で、検査率が突出して高いのはそうした理由がある。検査数なども随時、市のホームページで開示し、発信している」
──今の段階では、感染への不安が消えたわけではなく、新しい生活様式と行動が求められています。市としてどのような啓発と注意喚起を行っていきますか。
土田「ワクチンの普及も期待されているが、まず大切なのは情報に惑わされず正確な知識を得ること。感染リスクの高い場所を避けるなど、対策を続けて欲しい」
森田「マスクの装着やソーシャルディスタンスなど、市民の意識の高さを感じている。ただ、『咳エチケットと手洗い』が予防の基本であることは変わらない。今後心配なのは、マスク着用などにおける熱中症。柔軟に着脱するよう注意喚起が必要だ。また、従来の予防接種を控える動きも見られる。新たな感染症に罹らないためにも、予定通り接種してほしい。さらに、休止していた市内の施設の開放や店舗の営業再開にあたっては恐るおそるといった状況だと思う。市としても対応策をアドバイスできる体制を整えていく」
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