横須賀市は今月10日の会見で、田浦泉町にある谷戸地域再生推進事業用地(アーティスト村)内に少女漫画家で小説家の折原みとさんが創作拠点を構え、作家活動を展開していくと発表した。8月以降、アトリエとコミュニティスペースを整備し、横須賀を舞台にした小説を手掛けていく。
「横須賀は海のまち・海軍のまちとして憧れがあった。(アーティスト村は)自然に囲まれて、ノスタルジックな雰囲気の素敵な場所」。長年、逗子で暮らし、湘南を舞台にした小説も数多く執筆してきた折原さん。作品の構想を練るため、この場所に立ち寄ったのが昨年1月ごろのこと。谷戸の情景にイメージが膨らみ、上地克明市長に協力の相談を持ち掛けたという。
市の芸術家等誘致事業は、旧市営温泉谷戸住宅跡地を活用し、アーティストの居住誘致・施設の改修・地域との交流活動をメインに展開。折原さんは3人目の”入居者”として連携することになった。具体的には、8月下旬からアトリエとコミュニティスペースの整備を開始。供用開始は来年2月ごろを想定している。これと併行して横須賀を舞台にした小説を執筆し、2022年秋ごろポプラ社からの刊行を予定。また、折原さんのアーティスト村での活動やスペースの再生、地元での交流の様子は、講談社「FRaU」のWebページで発信していく。
「谷戸」から紡ぐ物語
折原さんは茨城県出身で、1985年に少女漫画家としてデビュー、90年に刊行した小説「時の輝き」は100万部を超えるベストセラー。執筆活動のほか、近年では郷里近くで古民家を再生し、地域のコミュニティスペースとして活用させている経験があるという。今回、アトリエ拠点となる谷戸住宅も折原さんを中心に改修を手掛けていく。「地元の人と交流しながら、(小説の)話を膨らませていきたい」と意欲を語った。
アトリエ・工房と交流の場
谷戸地域の空き家に創作活動を行う複数の芸術家を誘致し、まちの特色化を図っていく「アーティスト村」事業。一昨年に男性の陶芸家、今年春には現代美術家の女性が入居し、居室と工房を整備している。空き家再生を行う大学生らの手を借りて室内のDIYを行ったり、土器制作の体験会を実施したりするなど、創作発信だけでなく地域交流の場としての活用も期待されている。
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