海藻が育たず魚介類が減少する「磯焼け」が深刻化する小田和湾で、産学官が連携し水中ドローンを用いてその実態を調査するプロジェクトが開始された。県立海洋科学高校の生徒が機体を操り海中環境を調査。大学教授や漁業関係者から助言を受け対策を練る。海に悪影響を及ぼす原因を探ると共に水産現場などで活躍が期待されるドローン操縦士の育成にもつなげる。
水産・建設現場や生物調査などで人の代わりに潜り、海底の情報を得られる水中ドローン。活用が進む一方で、操作できる人はまだ多くはない。
こうした状況を踏まえ、県立海洋科学高校と横須賀市、慶應義塾大学SFC研究所、長井町漁業協同組合が連携し、次世代の水産業に携わる人材を育成。同時にIoTを活用し、横須賀が抱える社会課題を解決する市の「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ」の一環として、漁業を取り巻く海洋環境の改善にも取り組んでいく。
今月16日には同校3年生8人が小型実習船「わかしお」に乗り込み、長井沖から1Km圏内、水深13m地点をドローンで調査。船上のモニターには海底が映し出され、磯焼けの状況を確認した。実習生の齋藤幸樹さんは「潮の流れに対応して機体を操るのに苦戦した。もっと練習し、身につけた技術を後輩に継承したい」と話した。さらに飛行ドローンも使い、藻場を海上から調べた。
生徒らは今後、課題研究として週1回のペースで海中調査を進める。同校では来年度、学科を改編し、無線技術科を設けて本格的にドローン操縦士の輩出にも乗り出す。
「厄介者」を商品化
魚や貝などが卵を産み付ける海藻を餌にするムラサキウニ。ここ数年で増殖が進み、磯焼けの原因の一つになっている。生殖巣が未発達で可食部が少ないため食用には不向きとされてきたが、活用法を探るため同組合からサンプルの提供を受け、生徒らが食品分析を行う。将来的には加工・製品化など水産資源としての活用を目指す。同組合で総務部長を務める新野大介さんは「漁師は手作業でウニを除去し、海藻を増やす活動をしているが、収入が減り他の仕事と兼業する人もいる。磯焼けの原因究明に繋がれば」と期待を込める。
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