今年6月に閉鎖した神明町のくりはま花の国パークゴルフ場跡地に、国内最大級となる廃プラスチックのリサイクル工場が整備される。紙やプラの代替品として注目される新素材「LIMEX(ライメックス)」を開発する(株)TBM(本社・東京都千代田区)が運営。プラの廃棄抑制や再利用を促進する来年施行の新法を見据え、事業系・家庭ごみから出る廃プラのリサイクル事業を展開する。工事着手は10月初旬から、稼働は来秋を予定している。
整備地は神明町58の8の一部。隣接する東邦電線工業(株)は1997年、所有地を市に無償で貸し出し、パークゴルフ場として利用された。今年の土地賃貸借契約満了に伴い、返還を打診。閉鎖となった。同社はここに工場を建設し、TBMに貸借する。敷地面積は約1万3693平方メートル、建物床面積は約7859平方メートル。約4万トンの廃プラを受け入れ、約2万4000トンの再生プラ製品を生産する計画だという。
新法前に高まる期待
同社はSDGsへの貢献などを目的に2019年5月、LIMEXを通じたサーキュラー・エコノミー(循環型経済)を推進する「かながわアップサイクルコンソーシアム」を発足。これまで約50団体が参画し、プラを再製品化するための候補地を県内で探していた。その中で「脱炭素社会への移行に向けて『ゼロカーボンシティ』を宣言するなど、環境問題に取り組む横須賀市で敷地が見つかった」という。
来年施行される「プラスチック資源循環促進法」により、特定プラ製品の有料化や市区町村・排出事業者の分別収集、再製品化が促進される。プラ資源を用いた製品の質と量の向上が求められる中で、同社の工場整備は横須賀を”リサイクルの街”として発信する切り札にもなりそうだ。
石灰石でレジ袋製造
LIMEXは水や木を使わずに紙やプラスチックの代替品となる新素材。安価に調達が可能な石灰石が主原料で、枯渇リスクの高い資源の保全や気候変動の抑制にも繋がる。家電量販店「ヨドバシカメラ」のレジ袋や牛丼チェーン「吉野家」のメニュー表など、現在約6000社がLIMEXを採用している。
現在、宮城県に2つの生産工場を構えるが、リサイクル工場の運営は横須賀が初。市内のみならず広範囲から廃棄物を収集予定だが、家庭ごみについてはすでに葉山町と連携し、回収・選別の検証を行っているという。
同社の山崎敦義代表取締役CEOは「横須賀を起点に市内企業と協働しながら資源を確保し、新循環モデルを国内外に展開していきたい」とコメント。上地克明横須賀市長は「持続可能でゼロカーボンを目指す取り組みが発信されることを期待している」と話した。
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