私設絵本図書室「山の上のぼくら」を開設する 関川 日出雄さん 東逸見町在住 70歳
絵本に託す「つながる」想い
○…約半世紀かけて集めた絵本や児童書の「私設図書室」を東逸見町の谷戸にあるカフェの一角に開く。「本の価値が分かるところに置きたいと思っていた。子どもだけでなく大人にも手に取ってもらえれば」。想いを膨らませて数年。その願いがようやく叶った。
○…いまの「本職」は追浜にある喫茶店の店主。ライフワークとして「いわなべ仙吉」のペンネームで童話を創作している。学生時代、ロシア文学に傾倒し、大学のキャンパス新聞へ小説を投稿。選には漏れたが「童話のほうが合っている」とのアドバイスもあり、ジャンルを変えた。都庁に就職後は、職員組合の冊子などに投稿。離島の大島に赴任した際には、椿にちなんだ児童書を自費出版した。創るだけでなく「集める」ことにより力をいれるようになったのは、長男が生まれてから。「英国では子どもに読み聞かせをするのは父の役目。酒代が絵本に変わったよ」。気付けば1000冊を超えていた。
○…退職後は都内で絵本のある喫茶店を開業。子どもの学習環境を求めて伊東に転居し、横須賀へ来たのが6年前。店名「カメリア」は大島の椿に由来したものだ。喫茶店は地域交流の場。3年前には「追浜文芸ミニコミ紙・カメリア丸」を創刊した。A4紙1枚に店の客などが文章や写真を寄せて、今月には発刊40号を迎えた。自身を船頭に、小さな文芸コミュニティが生まれている。
○…私設図書室の開設を急いだのは、がんの闘病も大きな理由。短期入院中もパソコンで自伝のような児童文学も書き続けている。「本がつないだ縁を大切にしたい。人も場所も絵本が引き合わせてくれたのかも」と優しい笑顔。「山の上」の出会いの輪が”成長”することを期待している。
|
|
|
|
|
|
|
<PR>