横須賀市は「大矢部弾庫跡地」の活用について、民間事業者からアイデアを募るマーケットサウンディング(市場)調査を始めた。コンセプトやターゲット層、導入すべき機能などの意見を集約後、2023年度までに利用計画を策定する方針。国との土地取得協議を進め、24年度以降に事業者公募、設計・整備・供用開始をめざす。
「大矢部弾庫跡地」は横須賀市大矢部2丁目にあり、面積は約19㏊、東京ドーム4個分に及ぶ。そのうち15㏊が斜面地で、木々が茂り、希少生物も生息する自然環境が残されている。
市によると、明治初期から中期の周辺一帯は水田や松林が広がっていたが、1939年に旧軍施設となり、46年から弾庫関連とされる施設が建った。戦後、海上自衛隊の横須賀造修補給所が自衛艦隊や陸上部隊等の弾火薬の保管や補給のために使用。その後、自衛隊の整理・統合計画によって田浦港町の横須賀弾薬整備補給所比余宇弾庫に機能を移転し、現在は遊休地となっている。
市は同地の取得・活用をめざしており、国との協議を進めるための土地利用計画の策定に向けて、このほどサウンディング調査に乗り出した。
多数の遺構眠る
ここには自然だけでなく、多くの歴史的資源も残る。
平安時代に建立された三浦為通を開基とする円通寺(廃寺)跡のほか、為通と義継の廟所・墳墓とされ、現在までに21穴見つかっている「深谷やぐら群」は、周囲の自然環境と景観がほぼ当時のまま。「遺存状態は良好で極めて貴重な遺跡」という。また、3カ所ある隧道弾庫は、出入口がコンクリートで塞がれた状態で残置されている。
敷地の周囲では71年頃から宅地開発が進み、市全体と比較して北側の森崎地区は子育て世代が多く、南側の大矢部地区は60歳以上の割合が高い。こうした地域性を踏まえ、市公園建設課は「今ある資源をなるべく生かしながら、公園化も含めた自由な発想のもとで、地域に親しまれるような活用方法を探っていきたい」と話した。
提案書は民間事業者や団体から6月10日(金)まで受け付け、7月下旬に結果を公表予定。
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