「横須賀古地図くらぶ」共同代表で歴史講座を開く 山本 洋志さん 馬堀海岸在住 58歳
「古地図」のロマンに思い馳せ
○…19世紀半ばの関東一円の地図を広げて「これが江戸時代に庶民の間で使われていたもののようです」と話した。東京湾沿いの街道には「榎戸」「深田」など細かい地名が記載されている。これらの古い「地図」を手に移動をしていた当時に思いを馳せる”面白さ”を共有したい―。そんなきっかけで発足したのが「古地図くらぶ」。立ち上げ人を支える形で共同代表になった。
○…学生時代から日本史・世界史が好きだった。それに拍車を掛けたのが、初の海外旅行で訪れた中国でのこと。仕事で赴任した蘇州は90年代後半当時、道路や水路の骨格が800年以上前から変わっておらず、古い町並みや城郭が残っていた。これに興味を抱いて、カメラを手に街を辿り歩くようになったのが街歩きの原点だ。現地で15年ほど暮らし、生まれ育った横須賀へ戻ってきたのが10年前。妻との死別を経験し、ぽっかり空いた心を埋めてくれたのは、地元の歴史を読み解く「古地図」と、新たに出会った「くらぶ」の仲間だった。
○…古い地図にある道は「先人が年月をかけて”育てて”きたもの」と語る。「今の地形と照らしながら歩いていると、よくぞ残っていてくれたなという気持ちになる」。一般向けの講座を企画する傍ら、今は半島の東西を繋ぐ「魚荷道(うおにみち)」を調べ歩いているところ。道々を辿っていて思い抱くのは、切り拓いた先人への「敬意」だ。
○…幼少期に暮らしていた大津の家は、かつては海軍将校が住んでいた。街の成り立ちを重ね合わせて、より奥の深さを感じているところだ。「谷戸の発展や道の形状など、昔と今を比べると歴史の名残りを垣間見ることができる」。古地図を機にした出会いはまだまだ広がっている。
|
|
|
|
|
|