耳鼻科医でフランスの軍医・サヴァチェについて研究している 江沢 暁彦さん 馬堀海岸在住 81歳
時代経て伝える「医師の矜持」
○…横須賀製鉄所の創設時に来日したフランス人軍医、サヴァチェ。その医業績を紐解く講座を担当する。「地域医療への貢献も大きく、約10年の勤務で多くの功績を残している。もっと地元に知られるべき人。横須賀との関わりも紹介していきたい」と話す。
○…「サヴァチェ研究」に没頭してかれこれ10数年。きっかけは偶然だった。ふとした会話でヴェルニーやフランス人技師の当時の報酬額の話に。「ヴェルニーは有名だが、他にも高給取りの医師がいた。どういう人だったのか掘り下げたくなった」。資料を読み解き、その足跡をたどると、製鉄所で勤務するフランス人の健康管理だけでなく、職工のケガの手当てのほか日本人医師の養成と交流、感染症対策などに加え、植物学者としての横顔もあり、「(関係するものは)何でも調べてみよう」とのめりこんだ。
○…軍医ののち、市内の病院に勤務していた父の跡を継ぎ、耳鼻咽喉科の医院を開業してから40数年。幼少期は喘息持ちで身体が弱く、ひとりで絵を描いていた。趣味として続けていたが、「好きなら習ってみれば」と患者に勧められ、市内のアートスクールに通っている。院内には力作の具象絵画を展示、都内での絵画展にも毎年出展するライフワークになった。加えて、サヴァチェ研究から日仏交流団体との縁もできた。医史学会では会員として彼の医業を発表するなど、活動が広がっている。
○…横須賀製鉄所の歴史や機械を研究する大学の元客員教授にも教えを請う。「続けていられるのは、周囲の皆さんのおかげ」と感謝を忘れない。「純粋に”教わる”ことが好きな性分。私をひきつけた彼の業績、まだまだ知りたいことはたくさん。調べ続けます」
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