横須賀・三浦 コラム
公開日:2023.07.21
わたしのまちでいきる
【16】関わり合いを成長に繋げる「一般社団法人sukasuka-ippo代表理事 五本木愛」
この連載では、障がいを持って生まれた娘うららとの歩みから、(一社)sukasuka-ippoのルーツなど、さまざまなエピソードを紹介します。
新年度がスタートする4月。学校でも新たな環境に慣れるまでは落ち着かないものですが、sukasuka-kidsでも新入所の子どもたちを迎えるこの時期はトラブルがあちらこちらで起こります。そんな時、指導員たちが心がけているのは子どもたちが互いに納得できるよう橋渡しすること。頼もしいことに開所から共に過ごしてきた子どもたち自身も、時に大人顔負けの対応力でトラブルの仲裁に入ってくれることがあります。
ある日、新入所の1年生と発語のないうららがおもちゃの取り合いになった時のこと。その子は怒って泣いてしまい、そこへ高学年のAくんが声を掛けました。「うららちゃんが私が遊んでたおもちゃを取ったの!返してくれたけど謝ってくれない!」。その話を聞いたAくんは「〇〇ちゃん、見て。うらら、さっきからずっと謝ってるよ」と指差しました。うららは自分の手の親指をおでこに付け、その手をまっすぐ下に降ろす仕草を繰り返していたのです。これは「ごめんなさい」の手話。Aくんはその動作を真似しながら「これがうららのごめんね、なんだよ」と教えてくれていました。その子はスッと泣き止み、まじまじと見ながら「そうなんだぁ」と納得し、うららも伝わったことでホッとした様子でした。些細な出来事かもしれませんが確かな気付きの瞬間。こうした関わり合いの積み重ねが大きな成長に繋がっていくのではと思っています。-次回に続く
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