横須賀・三浦 人物風土記
公開日：2023.08.25
「野比中村町内会虎踊り保存会」の会長を務める
荒井 徹さん
野比在住 71歳
民族芸能 次世代へつなぐ
○…江戸後期から伝わる野比・中村町の「虎踊り」の保存会会長を務め、10月に５年ぶりに行われる定例披露を取り仕切る。ストーリー性の高い浦賀に対して、躍動感のある演舞の見せ方に力点が置かれている「野比の虎踊り」。２人が衣装をまとって演じる大きさ約２メートルの虎が、大きく体を振りながら踊る様子は「実際に目の当りにしたら誰もが魅了される」と自信をのぞかせる。次世代への継承を見据え、本番を前に日々指導を行う。
○…コロナ禍空白の５年間を「大きな穴が空いてしまった」と苦い顔で振り返る。少子高齢化が進む中、今後訪れるであろう担い手不足には危機感を募らせており「練習回数を増やすことで、興味を持つ子どもが増えたら」と今年度は白髭神社のほか地区外での発表の場を確保。この取り組みが功を奏したのか、久々の開催でも多くの若い世代が参加し、練習場はにぎわいを見せている。
○…生まれも育ちも野比。幼い頃から虎踊りの稽古に参加し、主に舞台の設営や太鼓叩きとして関わってきた。大人になってからも、隔年で行われる定例舞台を心待ちにしていた一人で「太鼓の音を聞くと自然と気分が高揚してくる」と並々ならぬ熱意を持つ。保存会会長には前会長からの推薦・住民の信任投票で選出され、地域からの信頼も厚い。
○…日々の練習を取り仕切る中で「子どもなんてうるさくって仕方がないよ」と冗談を飛ばす一方で、「積極的に取り組んでくれる子たちにはなるべく力を貸したい」と若い世代への期待をにじませる。伝えるのは知識や技術だけでなく、虎踊りに携わることで生まれるワクワク感。５年ぶりの「祭り」を自らも楽しみながら、次世代へバトンをつなぐ。
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