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横須賀・三浦 人物風土記

公開日:2023.10.20

10月28日から行われる特別全国障害者スポーツ大会に卓球競技で出場する
渡邊 登美代さん
三春町在住 77歳

義足で歩んだ半世紀

 ○…「障害者の国体」として知られる特別全国障害者スポーツ大会に3回目の出場を控える。喜寿を迎え、近年は体力の衰えも感じ始めており「今回が最後の出場かな」と寂しげに語る。一方で「だからこそ最高の結果を残したい」と今年はプロによる指導も受け、さらなる実力アップをはかってきた。対戦相手の戦術も動画で研究しており、本番を前に準備は万端だ。

 ○…24歳の時、横浜市内の路地を歩いていると自動車が自らの下半身に乗り上げる大事故に遭い、左脚を失った。「車と相撲を取ったら負けちゃってね」と冗談交じりに振り返るも「骨の折れる音が続けて聞こえた」事故の衝撃と痛みは今でも忘れない。長い入院生活の中で無気力になる時期もあったが、勤めていた化粧品会社の上司からの励ましもあり、激しい痛みを伴うリハビリを半年間耐え、義足をはいて社会復帰を果たした。

 ○…復帰後も「障害者だからといって同情されたくない」と販売店の店頭に立ち続け、結婚するまで勤めた。専業主婦として子育てに奔走していた42歳の時、夫が病気で亡くなった。絶望する間もなく一念発起し、三春町に化粧品店を開業。2人の我が子を立派に育て上げた。山あり谷ありの半生だが、モットーは「他人のせいにしない」。「逆境でも常に前を向くことが幸せへの一歩」と力強く語る。

 ○…卓球を始めたのは50歳の時。相手との一瞬の駆け引きや細かい技術に奥深さを感じ、プレー歴は25年を超える。今後についても「倒れるまで競技を続けたいね」と情熱を燃やしており、健康管理や身体のケアには余念がない。数々の困難を乗り越えてきたその”足”を休めるのはまだ先のことになりそうだ。

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