横須賀市内の小学校のあり方について、走水小を馬堀小へ、田浦小を長浦小へ統合することを妥当とする答申を10月31日、市立小学校適正配置審議会が市教育委員会に提出した。児童数減少と建物の老朽化が主な理由。正式決定の前に各地域で説明会が行われる。
市は「市教育環境整備計画」の前期計画(2022年度〜25年度)に基づき、昨年度から小学校等の規模や配置についての議論を本格化。該当地域の学校関係者、保護者らで構成される小中学校教育環境整備検討協議会を設置し、同審議会は答申を作成する上での参考とした。答申内容を踏まえ年明けの教育委員会会議で正式決定される見通し。実際に統合するのは2025年度以降となる。
児童減と老朽化
走水小の今年度の全校児童数は32人。1、2年生は同一学級を2学年で編成する「複式学級」で授業が行われている。また隣接する馬堀小学校も単学級がある小規模校であり、児童同士の関わりあい等の確保のため両校の統合が判断された。
田浦小は長浦小とともに全学年で単学級であり、今後も児童数の減少が見込まれているほか、校舎の築年数が70年を迎え、同地での建て替えが困難であることから答申の方策案を盛り込んだ。
通学の安全に懸念
統合が実行された場合、両校では児童の通学距離は最大3Kmで30分以上の時間がかかることが見込まれる。また、トンネルが通学路に含まれるため、児童の安全確保に懸念が残るとする声が協議会や保護者から上がった。
対応策としてスクールバスの運行や路線バスの通学定期支給が挙げられるが、答申では具体的な対応は今後検討するとしている。
地域とのズレも
近隣住民からは「廃校が地域の過疎化につながる」といった小学校の地域社会における役割を重視する意見も複数挙げられた。両地区の協議会委員や有志団体が保護者や地域住民を対象に実施したアンケートでは、統合について否定的な意見が肯定的な意見を上回る状況だ。
審議会ではそれらの意見も踏まえつつ、あくまで「子どもの教育環境の整備」という観点に重きを置き、今回の答申を作成したとしている。市教委は走水・馬堀地域で今月下旬から、田浦地域で12月上旬から複数回地域説明会を行う予定。
再編議論 今後も
小学校の定員について、横須賀市は適正な学校規模を12学級から24学級としている。審議会では少人数教育の有用性を認める一方で、小規模化が進み学習指導要領やカリキュラムに沿った教育ができなくなることを懸念する声も上がった。
逸見小、沢山小、桜小、汐入小は26年からの後期整備計画の対象となっており、児童数の減少と施設の老朽化は今後全市的な課題となる。
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