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横須賀・三浦 経済

公開日:2024.01.01

ドブ板通り スカジャン店
刺繍に「意思」を込める

  • 龍のデザインを刺繍に起こす山上さん

 ドブ板通りの一角の店舗前に置かれたテーブルとミシン。興味を示した通行人が立ち寄り、職人が施す刺繍の繊細さと華麗さに目を奪われている―。ここはスカジャンと刺繍の専門店「ドブ板コーバスタジオ」(本町2の1)。店主の山上大輔さんは「今年の干支『辰』に合わせた注文が増えている」と話す。

 横須賀市のふるさと納税の返礼品にもなっている同店の品は、客ひとりひとりの要望に合わせたオーダーメイドで世界に1つだけのスカジャン仕立てる。山上さんの手法は、針が左右に動くミシンを使って直接生地に柄を起こす「横振り刺繍」。しかし職人の高齢化や機械の進歩などにより、その技術は途絶えかけている。そんな中で「お客さんが持ってきたイメージを人が再現すると『意思』が入る。お客さんの想いもひとしお」と自らの"手"で制作する事にこだわりを持つ。

 ミシンを生業としていた祖母の影響で幼少期から「刺繍をやってみたい」という思いが頭の片隅にあった。デザイン関係の仕事をしていた2019年、自身のデザインを刺繍に起こすことを刺繍職人の松坂良一さんに依頼したのがきっかけでミシンを購入。はじめは動かす事すらままならなかったが、松坂さんにアドバイスを求め、試行錯誤を重ねた結果、自在な操作が可能に。元来「凝り性」だった性格もあり、細やかな作業が必要となるミシンとの相性が良かった。

「入口を提供したい」

 元々は刺繍体験を行う場として運営していた同店。現在でも、子どもが持ち寄ったイラストを山上さんが刺繍するワークショップを開いている。「大人になった時、どこかのタイミングで刺繍を思い出してくれればそれでいい」と希望を込める。今後は実際にミシンに触れて刺繍を施すイベントを構想中だ。「技術の継承とまではいかずとも、人の手を介在する文化を知ってもらえたら」と職人の技を広める門戸を開いていく。

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