空き家を再生して民泊施設をつくりだすプロジェクトを立ち上げた 麦島 康友さん 浦賀在住 43歳
「泊まれる不動産店」で勝負
○…食事を楽しめる宿泊機能を持った不動産店を営む。ユニークなコンセプトそのままの屋号は「酒と宿と不動産」。まちの住人になった気分で滞在することで、ここに暮らす自分や家族をリアルにイメージしてもらう─というストーリーを思い描く。イタリアの地域再生の成功事例として知られる「アルベルゴ・ディフーゾ」の要素を取り入れ、宿は華美な装飾や装備を廃してサービスはシンプルに。レセプション(受け入れ)の役割を担い、連携している周辺の飲食店などを紹介する。定住につながる実績はまだないが、宿の予約は好調。事業として軌道に乗せる道筋が見えてきた。
○…鍵を握るのが宿泊施設の確保。増え続けている空き家に目を付けた。「放置されている物件を地域の資産に変えていく」。浦賀で取り組むプロジェクトには学生を呼び込み、企画提案だけでなく運営にも携わってもらう。「庭付きの5LDKで井戸がある。この空間で何ができるか、持続可能な経営を実現するためにはどうしたらいいのか。空き家の問題は人口減や高齢化とも密接な関係があり、学びの宝庫」。真の課題解決型プログラムを走らせる。
○…不動産店で経験を積みながら自身のアイデアを温めてきた。地方創生を学ぼうと、愛媛県今治市の離島で銀シャケの養殖や加工品の開発に携わり、販路開拓で手腕を発揮した。その後、箱根の旅館で宿泊業のノウハウを吸収、入念に準備を重ねて独立を果たした。
○…黒岩知事が三浦半島の地域活性策としてアルベルゴ・ディフーゾを唱えはじめるなど、「風向きの変化を感じている」。定住政策に目を向ける議員や市民、学生たちが集まりだし、うねりになりつつある。勝負の準備はできている。
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