横須賀市は、市民の日常生活の悩みや相談に応じる生成AIチャットボット「ニャンぺい」の公開実験を5月20日から行っている。あえて未完成な状態で公開し、そこで得られた不正確な回答や不具合を収集。改善と性能向上につなげることで24時間365日誰もが安心して相談できるチャットサービスを目指し、6月30日(日)まで実証実験を続ける。
チャットボットとは、ウェブ上で利用者がテキストを入力すると、その返答が自動で行われるプログラムのことで、ニャンぺいは現在横須賀市のホームページで公開されている。今回の取り組みは、「悩みに対して親身に相談に応じる」ことを見据えており現状では具体的な行政等の質問には対応していない。
ニャンぺいは多くのメディアで紹介されたことで、公開後3日で1万5千アクセスを記録。想定を上回るアクセスに、サイトを一時停止することもあったが、現在は正常に稼働している。不正確な回答は利用者が該当箇所をスクリーンショットなどで記録し、専用フォームから市に報告。5月27日現在で20件程度の不適切な回答が報告されている。
市は2023年、全国の自治体に先駆けて「ChatGPT」を庁内に導入。以来、生成AIを利用して職員の事務作業効率化や短縮化に役立て、その分を対人サービスの充実にあてている。ほかにも他の自治体や企業に向けて生成AIの活用法を指南する研修合宿を開くなど、DX化の旗振り役となってきた。
集めた事例はチャットボットの改善に役立てるだけでなく、他市にも共有する形で自治体全体のDX化推進にも寄与する考えだ。
行政初の未完成公開
今回の公開に先立ち、市では庁内職員を対象に、不正確な回答を引き出す事前テストを実施し、100件程度の誤答を発見。修正後は複数のWEBプログラミングソフトを駆使し、ニャンぺいへの質問を自動化するなど検証を重ねてきた。しかし質問の傾向が偏る可能性や、より多くのデータが必要だったため今回の公開実験に踏み切った。誤答の事例を集める目的でチャットボットが公開されるのは「行政の取り組みとして全国でも類を見ない」と市の担当者は話している。
本格運用について担当者は「誤情報を正しい知識かのように話す事が限りなく0に近づき、分からないことは分からないと言えるようになれば」としている。将来的には相談事だけでなく、行政関連の質問にも回答可能な運用も視野に入れているが、市のAI戦略アドバイザーで、監修として参加している深津貴之さんによると数年はかかる見通しだという。
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