女性が外見と内面の美を競い合う「ミセスオブザイヤー ワールド2024」が6月29日、都内で開催され、横須賀市内在住の小林桜琉姫(はるひ)さん(42)が全体で2位に相当する「QUEEN賞」を獲得した。3年前まで社会的に男性として生きてきた過去を踏まえ「ありのままの姿を認めてもらえて嬉しい」と喜びを語った。
40歳で性別適合手術
衣装やメイク、スピーチ、ウォーキングなどの審査で女性の多様な美しさを追い求める「ミセスオブザイヤー」。小林さんは2022年度の地方大会から挑戦を始め、昨年の日本大会で特別賞を受賞。世界9カ国から60人のファイナリストが集まる世界大会への出場権を手にした。同大会は年齢などで分けられた5つの部門から成り、部門を超えて選出される「QUEEN賞」(総合2位に相当)を獲得した。
かつての甲子園球児
「物心ついた時から”女性らしさ”を求めていました」―。厳格な家庭の長男として生まれた小林さん。幼い頃はロングヘアやモデル体型の女性に憧れを抱いていたが、成長するにつれ実感する心と体の乖離、社会から求められる男性としての役割に苦悩していたという。
野球に熱中していた青春時代。高校は甲子園常連の名門校に進学したが、男性であるチームメートとのコミュニケーションに悩んだ時期もあった。性に関する話題や「いじり」には「静かに耐えるしかなかった」と振り返る。2年に都内の学校へ転校し、3年夏は甲子園に出場した。
我が子も応援
3人の子の親でもある小林さん。鍼灸師として独立し、子育てが一段落した39歳の時に性自認についてカミングアウトした。両親は動揺した様子を見せたが、知り合いの多くは理解を示してくれたという。女性としての服装やメイクを楽しむようになった小林さんに長女が掛けた「今の方が生き生きしていていいね」という言葉に「以前は父親像に悩んでいたので、肩の荷が下りたような気がした」と目を細める。
一心不乱に「美」求め
40歳の時に体の機能を女性に適合させる「性別適合手術」を受けた。ミセスコンテスト出場を目指し、女性らしいスタイルへ肉体改造を始めたが、男性としての骨格を矯正するのに四苦八苦。意図的にろっ骨を折り、半年以上腰にコルセットを巻いて骨の形を変えるという荒業で理想のスタイルを手にした。
今後は鍼灸師の仕事を続けながら、地元横須賀を拠点に性についての悩みを持つ人に向けた相談員としての活動にも意欲を見せる。「行政や医療機関に頼りづらい人もいる。同じ悩みを持っていた同士として、一歩踏み出す手伝いが出来たら」と目を輝かせた。
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