横須賀・三浦 コラム
公開日:2025.06.13
OGURIをあるく
〜小栗上野介をめぐる旅〜第50回 第一部最終回文・写真 藤野浩章
小栗上野介を追ってきた本連載も、今回で第一部が終わる。
横須賀製鉄所が着工するところまで来たが、それは嵐の序章に過ぎなかった。小栗にはもちろん製鉄所にも、激しく動く歴史の中でこの後、過酷な運命が待ち受けている。第二部は来年中頃から、その過程を丁寧に追っていきたい。再来年には大河ドラマ「逆賊の幕臣」が始まるから、その流れも踏まえていろいろな角度から小栗を知るきっかけを掲載するつもりだ。
幕末と言えばもう1人、横須賀の偉人がいる。中島三郎助(さぶろうすけ)だ。ペリー来航時の活躍に加え、勝海舟、桂小五郎など幕末の英雄たちと数多く交流した人物で、最期は北の大地に散ってしまった。7月からは、ゆかりの地を訪ねたレポートを入れながら彼の生涯に迫っていく。
元になるのは、大島昌宏が1995年に出した『北の海鳴り』。現在絶版のこの作品を電子書籍ではあるが復刊させ、中島の功績をずっと伝える一助になればと思う。
彼は小栗の6歳年上。活躍した時代が同じで、作中に小栗も登場する。下級役人から海軍創設の立役者になった中島の視点も加えれば、幕末がより立体的に見えてくるだろう。小栗大河の予習としても最適かと思う。
さて、現在ヴェルニー公園にある小栗の胸像。これは実は最初ドブ板通りの裏山の中腹にある諏(す)訪(わ)公園に設置されていた。戦前の金属供出で撤去され、後に臨海公園(現ヴェルニー公園)で復活したのだ。
丘から移り、目の前に自ら手がけたドックを見る小栗。何か言いたげな姿は、私たちにどんなアドバイスを与えようとしているのだろうか。
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