京急追浜駅前で計画されている複合高層施設2棟の着工時期が遅れる見通しであることが分かった。事業を取り仕切る「追浜駅前第2街区市街地再開発組合」によると、約1年8ヵ月後ろ倒しになり、2027年1月に延期する。29年11月末の竣工を目指すとしており、工事費の高騰などの社会情勢を踏まえて、ゼネコンの選定などの検討に時間を要していることが主な理由だという。
同事業は、「夏島貝塚通り」沿いの約0・8haに高さ約100mになる鉄筋コンクリート造の複合高層施設2棟を建設するもの。両棟合わせて337戸の共同住宅に加え、公共駐輪場を開発する計画で、現在夏島町に位置する「市立北図書館」も、同施設内に移転する予定となっている。これに加えて、駅や建築物を連絡する立体歩行者通路も整備される見通しだ。
全国的な課題として、昨今取り沙汰される建設費の高騰。建設コストの定期調査などを行う「一般財団法人 建設物価調査会」が6月10日に発表した統計によると、今年5月の鉄筋コンクリート造の集合住宅建設にかかる材料費などの「工事原価」は、前月比で1%増、前年同月比で5%増と、状況の悪化に歯止めがかからない。
工事費見直しを視野
23年5月当初の事業計画では、25年5月に着工し、竣工は28年3月を見込んでいた。総事業費約254億円のうち、約205億円と見積っていた工事費は、物価高騰の影響などを考慮して、今後見直しを図るという。
同組合の織田俊美理事長は「横須賀市の『北の玄関口』としても大きな意味を持つ今回の事業だが、高騰はどうにもできない。行政から一層の支援を頂けるとありがたい」と窮状を訴える。
駅前交通円滑化とにぎわい創出
追浜では、駅前の機能強化を図るべく、横須賀市と国土交通省関東地方整備局が主体となった再開発計画も進行中だ。
同事業は、バス停を集約し公共施設や商業施設を立体的に配置する「地域密着型バスタ」を設ける構想。バスやタクシーの複合ターミナルとしてだけでなく、市街地拠点・防災機能も強化していく。追浜駅前は、バスや電車、自動車などさまざまな種類の交通手段が接続する「交通結節点」となっている一方、バスやタクシー、乗用車、歩行者などの動線が錯綜しているのが現状だ。このような状態を解決し、交通流動性を高めようと、2021年3月に事業計画を策定。以降、事業検討会の開催、交通事業者との意見交換、将来導入を見込んでいる「連節バス」の実走実験などを行い、事業の深度化を模索してきた。それらを元に今年6月、具体化した事業計画を発表した。
出口を区分
今回の改定ではターミナルの区域を約0・7haと決定し、バス、タクシー・乗降する一般車の出口を区分。追浜駅前交差点からターミナルに進入、バスのみ南下し、追浜南町入口交差点が出口となる。これにより交通の円滑化を狙う。
そのほか2階以上の部分には、子育て支援機能を備えた拠点、商業施設なども配置する予定だという。
10年以内目途に竣工
市担当者によると、今年度中に地域住民への説明会を実施し、用地測量に移る予定。その後、用地契約、民間事業者の公募などを行い、概ね10年以内に竣工するスケジュールを描いている。
6月27日(金)までの間は、事業の詳細をサンビーチ追浜4階の「追浜えき・まち・みちデザインセンター」で聞くことができる。
![]() 整備イメージ『追浜駅交通結節点整備 事業計画(改定)』(令和7年6月 国土交通省・横須賀市)
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