横須賀市長選は6月22日に投開票され、現職で3選を目指した無所属の上地克明氏(71)が、市議を辞して挑んだ無所属の小幡沙央里氏(39)と共産党三浦半島地区常任委員で無所属の為壮稔氏(71)の両新人を抑えて当選を決めた。選挙戦の最中に上地氏が交通違反などによる謝罪会見を開くなど、波乱含みの展開となったが、有権者は上地氏の続投を選択した。投票率は40・60%(前回33・41%)だった。
上地氏「『ヨコスカ復活』精進」
午後10時40分ごろ、当選を告げる報せが米が浜通の事務所に届くと、上地氏が姿を見せ、支援者らに深々と頭を下げた。「厳しい選挙戦を乗り越えて『ヨコスカ復活』の信任を得たことを確信し、精進していく」と全身から声を絞り出すように言葉を発した。
上地氏は、年明けの年頭会見で3選をめざす決意を述べ、自民党・公明党の推薦と大半の市議と経済団体などの支援を取り付けて組織選挙を展開。観光客の増加やファミリー世帯の転入超過を2期8年前の実績として強調するなど、経済の果実を福祉に振り向ける独自路線を推し進めることをアピールした。
盤石に思えた体制に警戒感が高まったのは、一週前の三浦市長選。新人の出口嘉一氏が6選に挑んだ現職の吉田英男氏を打ち破る波乱の結果となり、緊張が走った。これに加え、自身の交通違反と車の車検、自賠責保険が切れていたことが明るみになり、謝罪会見を開くなど、一転して劣勢に追い込まれた。ここから陣営は組織の引き締めを図り、上地氏も街頭で声を張り上げ、「誰もひとりにさせないまち」の理念や経済復興を訴えた。
当選後、記者団に囲まれ、懸案の追浜日産工場への対応や人口減少への取り組みを問われると、「関連する企業を含め市民を守る。人口も新しい局面を迎えている。観光を入口とした地域振興を図る」と力を込めた。
小幡氏 「政治から身を引く」
「多くの女性や市民、皆さんにもらった期待に応えられず申し訳ない」-。小幡氏は敗戦が決まると、支援者らに頭を下げ、そう言葉を紡いだ。
子育て世代や高齢者施策の充実など、福祉政策を最上位に据える市政運営を掲げて市長選に挑んだ。女性立候補者であることや若さもひとつの武器として、SNSなどを駆使して政策をアピールしたが、約1万2千票差で惜敗した。
今後について「政治の世界からは身を引くが、別の形で横須賀のまちづくりに関わりたい」と政界引退を明かす一方、まちづくりという観点でこれからも市と繋がっていく姿勢を示した。市政に関して「間違ったことは間違っていると声を上げた方がいい。次の選挙にはまた誰かが挑戦してほしい。私は次の人に託したい」と願いを込めた。集まった支援者らは「政治家として10年間、一切信念を曲げず貫いてきた姿勢を見てきた。その経験は決して無駄にはならない」と労った。
為壮氏「市政を注視」
為壮氏は「力不足。訴えを実現するため、これからも市民と取り組んでいきたい」と頭を下げた。選挙戦では、介護事業所への支援などを打ち出したが、広がりを欠いた。現職の再選について「全ての公約を否定するわけではない。税金をどの立場に対して使うか、注視したい」と述べた。
今後は党の委員として後進の指導に励むとした。
![]() 敗戦の弁を語る小幡氏
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