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横須賀・三浦 コラム

公開日:2025.08.15

わたしのまちでいきる きょうだいの想い 編
【4】間違っているのは、私?「一般社団法人sukasuka-ippo代表理事 五本木愛」

 この連載では、障がいを持って生まれたうららの兄、蓮から見た妹の姿やきょうだい児として感じてきたことなど、さまざまなエピソードを紹介します。

 「今日の学校は雨が降っていて遊べなかった」。そんな何気ない会話が、なぜかいつも以上に他愛もなく聞こえていた、ある夕食時。子どもながらに"何か"があったんだと思わせるには十分な程の緊張感と空気が漂っていた。"誰かが怒られる"。その場にいる兄弟達みな、そんな風に感じていました。

 空気は鈍く淀み、薄くなる酸素濃度。これ以上はこの場に存在できない。そう思った頃、「兄弟ができたよ」─。母の一言で、さっきまでの張り詰めた緊張感は、蜃気楼みたいに消え去りました。そこからは正直あまり覚えていません。誰かの誕生日みたいに盛り上がった事や、誰にも言ってはならないと感じた私自身の本音が、真反対だったこと以外は。

 少し経ったある日、近くに住む兄と姉と食事を済ませたあと、私はテレビで当時好きだったバラエティー番組をぼんやりと眺め、他の兄弟4人は、学校でのことや習い事の話などをしていました。ただそれは、この後に続く前座でしかなく。

 「兄弟出来たんでしょ?」祝い事の声色で切り出した兄と姉。対して、妹と弟が「嬉しい!」と返す。まるでテニスの壁打ちみたいな、打つ前から分かりきっている会話とその温度感に、"私は間違っている"。そう思わされ、早くこの会話が終われと祈りました。

 しかし、兄と弟、妹たちがふと話題から外れた時、その打球軌道は完璧だった予測を逸れ、姉から私に向けられることになったのです。

-次回に続く

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