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横須賀・三浦 社会

公開日:2025.10.31

浸透進む「精神科訪問看護」
夜間対応行う有志の事業者も

  • 体調の相談が寄せられることも

 全国的に増加傾向にある精神疾患患者数。厚労省によると2023年時点で総患者数は約600万人、20年前と比較すると約2・5倍となっている。その一方、国の推進などにより、精神疾患者の療養は「入院中心」から「地域生活中心」へと大きく舵を切っている。このような背景から、自宅療養者に向けた精神科特化型の訪問看護のニーズが全国的に高まりを見せつつある。

 精神科訪問看護とは、精神疾患のある人や心のケアが必要な人の自宅などを看護師が訪問し、服薬管理、生活リズムの調整、不安の傾聴、対人関係の相談、不登校の子どもへの社会性獲得に向けた関わりなどを支援するサービス。横須賀市内では約50の訪問看護ステーションのうち、精神を専門とする事業所は1割程度ある。池上の訪問看護「ファミリーナース衣笠」の石田隆代表は、「横須賀は人口に対して精神疾患者数が多い傾向にある。一方でまだサービスの認知度が低く、当事者や支援事業所の人でもこの取り組みを知らない事が多い」と現状を分析する。

 同事業所では、こうした地域の実情と需要を捉え、昨夏から精神科に注力。精神科病棟での勤務経験がある看護師が加わったことをきっかけに、精神科を主にした事業所として活動を本格化させた。「退院後、自宅での支援は多くなく、入退院を繰り返す人を多く見てきた」。現在は市内を中心に不登校児童・生徒から大人まで30人ほどの利用者がいるという。

支援の隙間に有志の心

 精神科訪問看護は基本的に夜間は営業時間外だ。そのため、要請があっても利用者の元へ緊急出動することは通常ない。しかし精神疾患の中には、夜にかけて症状が悪化するものもあり、同事業所では、サービスが止まりがちな午後10時頃まで利用者の悩みや相談に対応できる公式LINEを稼働している。「夜になって調子が悪くなってきた」「仕事にいけなかった」「お風呂に入るべきか迷っている」などの会話に、看護師の有志5人がこれに返答。「孤立を防ぎ、安心感を提供したい。支援的な社会の一助になれば」と話している。

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