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横須賀・三浦 文化

公開日:2026.01.23

三崎に眠る「戦時の体温」
古民家から資料 保全へ寄付募る

  • 資料を基に作成した小冊子を持つ落合さん

 三浦市三崎出身の字幕翻訳家・落合寿和さん(58・横浜市在住)は、父の生家である三崎の古民家から日本の近代史を物語る膨大な資料を発見した。行政からの公文書や親族間の書簡、戦時下の新聞、明治期の小学校の教科書など「当時の庶民が感じていた空気感が読み取れる」と落合さんは希少性を訴える。押し入れから見つかったこの資料群や家屋を保全していくため、クラウドファンディング(CF)を通じて寄付を呼び掛けている。

 落合さんはこの資料群を、「100年前にハードディスクがあったなら、その中身がそのまま無事に出てきたかのような状態」と表現。そのどれもが、色褪せながらも当時の息遣いをそのままに留めている。

戦争への足音伝える警察からの手紙

 発見した資料の中でも、当時の社会情勢を色濃く反映しているのが、1940年当時、花暮の区長を務めていた落合さんの曾祖父のもとに届いた一通の茶封筒だ。差出人は、三崎警察署。中には、戦時体制下で物資の配給や価格を監視した警察組織「経済警察協議会」の名称があり、奢侈品(しゃしひん)(ぜいたく品)の製造販売制限規則などが記されている。特筆すべきは、その本文に「九月二十七日、目的を一にする独伊と同盟成り、全體(ぜんたい)主義国家は益々強化せるは、同慶に堪えず」と、日独伊三国同盟の成立を祝う文言が刻まれている点だ。落合さんはこれを「『奢侈品を作ってはならない』『売ってはならない』という制限が、国家総力戦体制の一環で、三崎という地域社会の隅々まで浸透させられていた」と当時の実情を読み解く。

 このほか、日本の統治下にあった満洲国熱河省で働いていた大叔父が三崎に送ったとされる「満州日日新聞」やその明細、「集レ」「伏セ」といった日本語の軍事号令に対応する”満州語”の一覧表などもある。陸軍士官学校で使用されていたとされる教科書には、地形を利用した橋の建設方法や、ドイツ軍の事例を引き合いに出した設問もあり、具体的な軍事教範が記されている。

 『白米食の廃止に就いて』と題された冊子もある。これは1938年に厚生省衛生局と国民精神総動員中央聯盟が発行したもので”白米は贅沢”と位置付けている。食生活から戦時体制への協力を求めた背景が伺える。

保全に熱意

 落合さんは2019年末に発見したというこれらの資料を保全していくため、一点一点スキャンして文字起こしを実施。現代語訳や詳細な解説を付した「復刻版」を制作した。今後、これを販売し、CFの資金と合わせて資料や老朽化が進む家屋の保全に充当していきたい考えだ。「100年前の歴史を100年後まで語り、つないでいきたい」

 CFはキャンプファイヤーのサイトで2月6日(金)まで展開している。

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