三浦の散歩道 〈第101回〉 みうら観光ボランティアガイド協会
「黒崎原」の台地へは向かわずに、海辺への道を選びました。一部、急な下りを経て岩礁のある岸へと出ました。岩を乗り越え、砂地を歩いて行くと、やがて堤防らしきものが見えて来ました。近寄ると「防波堤通行止 国道方面↑」の表示板がありました。矢印の方向へ進むと、山の裾道へと続きます。登って、下って、やがて、広い処へと出て来ました。入江の向こうに、白色のあかぬけた家々が十軒ばかり、眺められ、ここが、かつての湊(みなと)、入江だと思い出させる景色です。その広場に二つの看板が見られます。一つは、海に臨(のぞ)む岩の姿が、青空を背景に見事に描かれています。もう一つの方は、「黒崎の鼻とは」と表題されたもので、作成者は「県立三浦臨海高校美術部」と記されています。依頼者は「地元自治会」となっています。丁寧に書かれているので、全文を掲げてみます。
「なぜ黒崎の鼻と呼ばれているか地元の方々に尋ねたら、『岩場が黒っぽいからだ』という説もあるが定かではないとのこと。なお、東北・関東各地の海岸線の突端には『鼻』と名付けることが多いそうです。黒崎の鼻は、別名『馬の背』とも昔から言われております。
文学界では、曽野綾子氏の小説『神の汚れた手』は横須賀・三浦が舞台で文中の『馬の背の岡』という場所は当地を指しており、曽野氏の別荘は丘の上にありペルーのフジモリ大統領が一時住まわれていた様です。
また芸能関係ではNHK大河ドラマの撮影で有名であり、『義経』『龍馬伝』他時代劇の撮影や民放のドラマ等で撮影が行われており、2013年には日本・ベトナム国交樹立40周年スペシャルドラマの一部も目の前の砂浜で撮影されました。
このように多方面の方々により親しまれており、黒崎の鼻から相模灘を見渡す先に世界文化遺産になった『富士山』が悠然として聳(そび)え立つ姿は素晴らしいの一言に尽きます。また、当地は海水浴場としては有名ではありませんがプライベートビーチのような雰囲気で、夏には家族連れで海水浴を楽しまれたりしている場所です。」とあり、※印以下に「当地を訪れた皆様にお願いがあります。」として、「当地を訪れる方々に楽しいひとときを楽しんでもらうため、皆様が出したゴミ等は各自で必ずお持ち帰りいただき、美しいこの黒崎海岸をいつまでもきれいな場所として皆様の一人一人の手で綺麗にしていきましょう。」と、締め括(くく)っています。なお、この黒崎の鼻に、「いっしょうけんめい生きてます。私たちを取らないで! 黒崎花より」の看板も見られます。
自然を大事にしようとしている地元の人々を始め、この入江近くの高校の生徒さんの気持ちが強く伝わってくるようです。
人々の手で、美しい草花をはじめ、海辺の自然を大切にしていきたいものです。
(つづく)
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