三浦半島 草花歳時記 第9回 原始的な樹木「マテバシイ」 文・写真 金子昇
街路樹で常緑樹の「マテバシイ」が、あちこちに植えられています。本来この周辺では自生していない樹木ですが、三浦半島の山間部には多く見ることができます。
名の由来は、葉の形がマテガイに似ているためといわれています。また果実(ドングリ)は、日陰干しして待てば渋みが取れるからという説もありますが定かではありません。材は塩害・公害・風害に強いので、漁具やノリヒビ等に利用されています。
マテバシイの花は花弁がなく、花粉は風によって運ばれる原始的な植物といえます。雄花と雌花は離れて咲く雌雄同株で、雄花の集まりは今年伸びた枝の上方に、雌花はその下方につきます。雌花は受粉した翌年にドングリができますが、受精しなかった雌花は小さいままで、ドングリにはなりません(未成熟)。ドングリがついている枝(2年目の枝)を見ると、成熟したドングリと未成熟のもの両方が見られます。
マテバシイの枝葉の部分は良く繁っているため隙間がなく、上空から見ると林内が見通せません。南房総のあるマテバシイ林では、戦時中戦車の格納庫代わりに利用されていたといいます。
|
|
|
|
|
|