三浦半島 草花歳時記 第29回 古い起源を持つ「アケビ」 文・写真 金子昇
「口あけて はらわた見せる あけびかな」(蝶衣)
秋の果実の様子がよく表現されています。名の由来も実が開(あ)けることから「開実(あけみ)」、また口を開ける「あくび」からつけられています。
春には「アケビ」の可愛い花が目につきます。雌雄同株で、花は先端に雄花群、その根元に雄花より大きな赤い3枚の花弁状(萼片で花弁はなし)の雌花が見られます。
アケビは東南アジアとチリに隔離分布していることから、約1億年前のゴンドワナ大陸の分離する以前からの古い起源を持っています。現在、北アメリカに観賞用として渡り、野生化し大繁殖しているようです。
アケビのつるの太い部分は水分や空気が通りやすいため、「木通」または「通草」と呼ばれています。
葉は複葉で、小葉が3枚のものを「ミツバアケビ」(葉縁は波状の鋸歯で大型)、5枚のものを「アケビ」(葉縁に鋸歯がなく小型)と区別しています。三浦半島には両種の雑種「ゴヨウアケビ」(小葉5枚、波状の鋸歯)も観察できます。
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