三浦半島 草花歳時記 第30回「タブノキ」は花芽と葉芽が一つの芽 文・写真 金子昇
私たちの祖先が住み着く前の三浦半島は、「タブノキ」を始めスダジイ、シラカシ等の常緑性高木の自然林でした。タブノキは谷筋に多く生育し、今でもその子孫がわずかに生存しています。
一般に春開花する樹木の芽は、花が開く芽(花芽)と葉が開く芽(葉芽)が別々についていますが、タブノキは混芽(こんが)といって花芽と葉芽が一つの芽の中にあり、そのため大きく膨らんでいます。
別名「タモノキ」、その語源は古くから樹霊信仰の対象とされた樹木のため、「霊(たま)の木」から転じ、さらにタモノキからタブノキへとなりました。周辺での地方名は、三浦半島では「オーキ」、湘南地方では「しば」、房総半島では「オーイ」と呼ばれていたようです。また八丈島では「マダミ」といい、樹皮とツバキの灰汁から黄褐色の黄八丈染めに利用されてきました。
樹皮や葉は強い粘着物を含んでいるため、乾燥させその粉末をビャクダンやジンコウ等の香料と混ぜて、線香の粘結剤に使われています。
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