三浦 コラム
公開日:2022.10.07
三浦半島 草花歳時記
第36回 「ノブドウ」の実は食べられない
文・写真 金子昇
三浦半島の緑地には、自分の体を支えるために、樹木や藪等に絡んで生育する、つる性植物が多く見られます。その一つにブドウの実を小さくした「ノブドウ」があります。
夏に淡緑色の小さな花が咲き、秋に径1cm未満の球状果実をつけます。果実の色は緑、青、赤、白等、多色にわたっているのがわかります。これはブドウタマバエが果実に卵を産み、その幼虫が中に寄生しているためで、一種の虫瘤(こぶ)であり、食べることはできません。ノブドウによく似た「エビヅル」の実は虫瘤にならないので食べられます。
また、ノブドウは枝の各節毎に「巻きひげ」という蔓(つる)を出し、他のものに巻きつきながら伸びていきます。この巻きひげをよく見ると、強い風が吹いても切れないように、途中がコイル状になっています。
昔、ノブドウの蔓を切り取り、片方から吹いて出てくる汁を使って、目に入ったゴミを取り除いたり、打ち目や物もらいの治療に用いたりしたようです。
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