三浦 コラム
公開日:2022.11.04
三浦半島 草花歳時記
第37回 二色効果で鳥を誘う「クサギ」
文・写真 金子昇
今の時期、雑木林が広がる山林に入ると、赤褐色の萼(がく)に丸くつやのある青紫色をした「クサギ」の果実が見られ、果実と共に遅咲きの花も目にすることができます。花は赤色の萼(5枚)と白色の細長い花弁(5枚)が星状に開いています。果実は赤褐色の萼と青紫色の実の二色が目立ち、直ぐに鳥に食べられるので、こうした配色を「二色効果」といいます。
葉には精油成分があり、苦く抗菌作用として働くため、病気や虫の食害から守ることができます。しかしカブラハバチは、葉の表面を舐め、これらの成分を体内に貯めて、外敵から身を守っています。
若葉は山菜に、根や葉は薬用に、果実からは藍色や水色、萼からはベージュグレーの染色に利用してきました。また葉を揉むとインゲンの胡麻和えのように(名の由来に)、花の香りはジャスミンのようです。幹の部分に鋸屑(のこくず)のような塊がつくことがあり、コウモリガの幼虫(クサギ虫)が穴を開けたためで、焼いて食べると子どもの「疳(かん)の虫」に効くといわれています。
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