三浦 コラム
公開日:2023.03.31
三浦半島 草花歳時記
第41回 魔女の木と言われた「ニワトコ」
文・写真 金子昇
早春、日光のよく当たる山林の縁に、落葉低木の「ニワトコ」の花が白くかたまって咲いています。秋には赤い果実をつけ、大昔より万病の薬として珍重されてきました。別名「接骨木」といい、枝を煎じ詰めて骨接ぎの湿布として利用していました。
他の木の芽がまだ眠っている頃、ニワトコはすでに芽を出しているため、ある地方では「吹き出し花」と呼ばれています。また葉は腐りやすいので、昔は水田の「刈敷草」として利用され、下駄で踏み込むと1週間後には発酵し、泡状になって、害虫が発生しにくくなるといいます。
ヨーロッパでは「神の木、魔女の木」といわれ、伐採はタブーとされてきました。ゲルマン神話の女神「ホラ(ホレ)」は、ニワトコ(正しくはセイヨウニワトコ)の木を住処とし、人々の守護神として、病気や災い等から守ってきました。当時の人々は、ニワトコの前では帽子を取ってお辞儀をしたようです。女神「ホラ」はもともと黄泉の世界の女神でした。
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