逗子・葉山版 掲載号:2019年5月31日号 エリアトップへ

有料名越トンネル【3】 ちょっと昔の逗子〈第13回〉 トンネル掘削の重要性と必要性 野村昇司

掲載号:2019年5月31日号

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 児童文学作家・野村昇司さんにご協力いただき、かつての街や人々の生活を史実に基づき蘇らせます。『有料名越トンネル』シリーズは街のため、一大プロジェクトに取り組んだ明治の男たちの物語です。

 富道も安行も青年になってからは名主同士の会合で顔を合わすことがあり、互いの考えを述べ合う機会も増えました。そのうちに三浦半島の繁栄発展のために名越の山にトンネルを掘ることの重要性と必要性について論じあうようになりました。富道は安行の考えを知り、名越坂にトンネルを掘削することを安行に提案したのでした。安行も富道の思いに共感し、二人は固く手を握り合いました。

 この当時、村の道晋請などは県の許しが出てもその普請にかかる費用の全ては村の負担とされていました。その費用の算段が整う前に二人は県に小坪名越坂のトンネル掘削の要望申請書をだしてしまったため要望申請の許可はおりませんでした。

半島の名主たちの同意をえるため

 なんとしてもトンネル掘削を実現するために半島の村々の名主たちにトンネル掘削の同意をもらわなければなりません。同意してもらうということは掘削にかかる資金の協力を得ることでした。

 富道と安行は、まず県の出先機関である三浦半島内の全てを取りまとめている三浦半島郡役場へでかけ『掘削の同意書』と『本郷と鎌倉郡との間を擁する名越坂の儀は険俊にして行く人牛馬の往来困難一方ならず留意通路の不便を生ず。実に本郷の咽喉なるを持って往来物資・輸送の特便を諮り、進んで公益を起こさんことを望む』という寄付金連盟張の『署名簿』を示し、郡役場を手始めに二人は手分けして各村々へ出かけました。 (続)
 

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