逗子の景観まちづくり瓦版 第一号
町並は松並及川洋一
半世紀前の逗子海岸周辺には、十メートルを超す雄大な松の群生があちこちにあった。あまり手入れをしているとは思えない防風林の松である。その後開発が進み、雄姿はほとんど見られなくなった。
景観とは、人の視覚に訴えるところが多いと思うが、五感で感じる景観はもっといい。
勇壮な松林や松並木を見る。風が自然のリズムで身体に当たる。枝々が揺れ、ハモって音を為す。松籟(しょうらい)である。
潮の薫りが枝を伝わって鼻を突く。台風の前後の風の強い日などは、特に風情がある。
その名残をわずかでも留めている景観が好きである。
本通りから海岸中央通りへと進み、東郷橋を渡り、右側の袂の細道に入り、開成高校方向に向かう途中の景観。K氏邸と向かいのT氏邸の松がほんのわずかなトンネルを作る。天気のいい日は雀の群れの鳴く声が響く。
松の下には、潮風から家を護る為に造られたのであろうボサ垣、松を残す為に一部削ったコンクリート塀が在る。屋敷を造った先達の心も伝わってくる。
瓦版第1号平成24年
10月29日発行より転載
|
|
|
|
|
|