神奈川県で初めて超強力小麦品種「ゆめちから」を栽培した「葛原地粉を作る会」の代表を務める 大貫 正雄さん 葛原在住 67歳
藤沢産の小麦でパンを
○…藤沢産の小麦粉でおいしいパンが焼けないだろうか―。2年前から国産の品種を探し、加工食品の試食を繰り返したどり着いたのが超強力小麦品種「ゆめちから」だった。パン引きが強くもっちりした食感。「これなら100%地粉で作れるかもしれない」と県内で初めて栽培し、6月に収穫を終えた。「うちでもパンを焼いて試したけど、香りも良くておいしい」と満足した笑顔を見せる。
○…そもそもの始まりは、地元の遊休地の解消が目的だった。高齢化などが原因で土地は荒れていた。「どうにかしたい」。手間のかからない小麦を生産しようと、8年前に「葛原地粉を作る会」を立ち上げた。「年に1度くらい、みんなで旅行できるほどの稼ぎがあればいいじゃないか」と儲けではなく、荒廃した土地が少しでも減少すればと考えていた。だが、使われなくなって久しい土地は、竹が生い茂り、場所によっては太い木を抜き取るなど整備には手間がかかった。
○…生まれも育ちも葛原。先祖代々、元禄時代からこの土地で暮らしている。父が植木屋を始め、自身も中央農業高校を卒業し、その後を継いだ。8人で始めた地粉を作る会は順調だったが、現在は4人に減少。人数が少ない分、機械を使い合理化を進めたいが、予算も限りがある。「荒廃を止めるのは難しい。でも人数が少なくても出来るシステムを作りたい」と諦める様子はない。今は1町5反の土地で、小麦と大豆を生産している。「家族で旅行できるぐらい稼げているかな。のんびりやっている」
○…趣味は鳩レース。自宅の敷地には、会で使うコンテナや事務所に並び、鳩の飼育小屋があり100羽ほどを飼育中。「レースで鳩が戻ってくるワクワク感は何ともいえない」と笑う。同じように愛情を注ぐ「ゆめちから」は来年から作付を増やす予定だ。「パンやピザなども作れる。ぜひみなさんにも食べてもらいたい」と目を輝かせた。
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