自動車レースGT300のシリーズチャンピオンに挑戦するチーム「VivaC team TSUCHIYA」の 土屋 武士さん 遠藤在住 44歳
「レース屋」の心 次世代に
○…葛原にある小さな町工場から、国内最高峰の自動車レースのひとつGT300に挑戦している。そのチームの「オーナー」「エンジニア」「ドライバー」を務める。参戦2年目の今年、資金力に限りがある中で「技術力」と「チームワーク」を武器に、シリーズチャンピオンの栄冠まであと一歩に迫っている。2位との差はわずか5ポイント。勝負は11月12、13日に栃木県のツインリンクもてぎで開催される最終2戦で決まる。「結果がどうであれ、チーム全員がやりきったと思えるレースになれば良い。笑顔で気持ち良く終わりたい」と気負いはない。
○…父・土屋春雄氏は、エンジンからボディまでマシンを作り勝利を呼び込んだレース界のカリスマだ。1971年、今の場所に工場を開き、数々のマシンを手がけた。08年に活動を休止しシャッターを下ろすが、その2年後、「息子として父から受け継いだ技術やスピリットを次の世代へ継承していこう」と仲間2人で工場を再稼働。昨年、自動車レースへの復帰を果たした。多くの資金が必要なモーターレースだが、運営資金を他に頼らず仲間の純粋な援助だけの完全プライベートチームとしての参戦形態は、「絶滅危惧種」と呼ばれるほど珍しい。無謀ともいえる戦いに挑むのは、昔あこがれた「レース屋」の心意気だ。「最後は資本力よりも人間力が勝ることを証明したい」
○…生家は工場と隣接し、物心ついたころからエンジンの音を聞いて育った。小学生のころに初めて観戦したレースで、大人たちの真剣さに驚き「こんなに人を感動させるのか」とドライバーを志した。GT500やフォーミュラ・ニッポンでドライバーとして活躍。今は車のことだけでなく、スタッフの宿泊の手配、社員の給料計算まで役割は多い。「このチームは本当に多くの人が力を貸してくれている。感謝の気持ちを込めて、期待に応えるレースをしたい」と決意を語った。