昨年設立50周年を迎えた藤沢高等自動車学校(土棚)を運営する(株)キャリアドライブ(田村嘉規社長)は4月から、市内で生活保護を受給しながら暮らす世帯の若者向けに、普通自動車免許(第一種)の取得費用を全額負担するサービスを開始する。社会貢献・地域活性化事業の一環で、同社によると全国初の取り組みだという。
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「子どもの貧困対策 社会人への運転スタート応援企画!」と題した同サービス。同社が運営する静岡県富士自動車学校とともに進める事業で、藤沢市と富士市内の生活保護受給家庭に暮らす18〜20歳の若者計10人を対象に、免許取得費用(1人約30万円)を無償化する。
藤沢市によると、2017年4月1日現在、市内の生活保護受給世帯は4160世帯・5655人で、うち子どもがいるのは416世帯。対象者は同社が地域のケースワーカーと協力し、学習・就労意欲が高く、市内での就職を希望する男女から選んだ結果、藤沢市では12人程度になったという。
同社はさらに人選を重ねるため、今後、対象者に「取得した免許をどのような仕事に生かしたいか」などを記述する作文を提出してもらい、地域の有識者らとともに各自の熱意を審査する。合格者は4月から入校し、教習開始となる。
同社は免許取得後の就職支援も予定しており、同サービス受講生向けに、キャリアコンサルタントによる個別相談の機会も提供。職業紹介などにも力を入れるとしている。
田村社長は「子どもの貧困対策として、地元の若者を支える仕組みを作りたい」と、昨年10月ごろから同事業を企画し、準備を進めてきた。
就職目指す若者の力に
子どもの貧困対策へ
市内の生活保護受給家庭の若者を対象に、4月から運転免許取得費用の無償化を実施する(株)キャリアドライブ。田村嘉規社長によると、同事業を企画した背景には、近年社会問題化している子どもの貧困がある。
厚生労働省が発表した「2016年国民生活基礎調査」によると、全国の子どもの貧困率は13・9%(2015年)。7人に1人が経済的に苦しい生活を余儀なくされているという。
貧困から抜け出すために就職を希望するも、運転免許の所持を新人採用の必須条件とする企業が多く、貧困にあえぐ家庭では、取得費用が家計の大きな負担となるケースが少なくない。
同社によると、実際に最近、藤沢高等自動車学校の入校窓口では、現金一括払いではなく、ローンや分割払いで支払う学生などが増加しているという。田村社長は「就職を目指す若者の力になれればと思い、この事業を始めた。就労への意識は高いのに、資金が足りなくて自動車学校に通えない人を救済したい。全国には自動車学校が約1300校あり、同様の取り組みが業界全体に広まると嬉しい。来年以降もこの支援活動を継続していきたい」と話した。
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